Vol.22 ヤドカリプロジェクト#1:がんばり坂の家
リージョン・スタディーズ
ヤドカリプロジェクト——空き家を買い取ってスケルトンリフォームし、自邸兼事務所として利用したのち転売、利益を元手にまた別の空き家を自邸として改修。これを繰り返し、自身はヤドカリのように移動しつつ、足跡となる空き家を一つずつ復活させていく。
そんなプロジェクトの第一弾が、浜松市中心部の住宅街に建つ「がんばり坂の家」だ。
周辺の住宅需給状況等も調査して「住み継ぎやすい家づくり」を目指すと同時に、住み手が地域と積極的に関わりを持てるような「開かれた家」のあり方を模索した。
ヤドカリプロジェクトにより、「依頼を待つ」のではなく「仕掛けていく」ことで能動的にまちの価値向上に関わる「新しい建築家像」を提案できればと考えている。
白坂隆之介
改修前の北側ファサード。築58年の住宅。道路側は擁壁で閉ざされた印象だった。(撮影=白坂隆之介)
北側ファサード。写真右手は白い断熱材を充填した透ける壁。スライドして玄関が現れる。
玄関から南側の庭を見通す。光、風、人間が通り抜ける「開かれた家」。
リビングから土間を見る。天井を撤去し、既存の柱・梁を露出させている。
ワンルームの「住み継ぎやすい家」。断熱性能も高め、温度ムラのない屋内空間としている。