寒露
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かんろ
露は凍ると霜になるけれど、まだ霜にならない寒さ。このごろからだんだん冷えてやや寒、心が落ち着かないうそ寒、皮膚で感じる肌寒、冷気を感じる冷まじ、わけもなく気持ちが早まるそぞろ寒、骨身にまで来る身に入む、露が霜になりそうな露寒と度を増します。寒くなる様を表現する季語が暖かくなる季語より多いのは、人の皮膚の冷たさを感じる感覚点が、暑さを感じる感覚点より表皮に近く、冷感に気づきやすいからでしょうか。
- 冷まじや北へ犇めく夜のレール
- 坊城俊樹
菊花開
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きくのはなひらく
パスポートには菊の紋が描かれています。菊は日本文化を代表する花とされていますが、じつは外来種で、奈良時代の万葉集には菊の和歌はありません。平安時代の古今和歌集になってはじめて登場します。その後、菊は日本人の生活に定着し、陰暦九月九日は菊の節句と呼ばれ菊人形が作られます。乾燥させた菊の花を枕の詰め物とした菊枕は頭痛に効くとも。海外のものをとりいれて固有のものにする日本文化を、菊は象徴しています。
- 菊人形下着をつけてをる筈なし
- 谷口智行