立秋
-
りっしゅう
秋になる。立秋を過ぎてからは残暑見舞いを出します。「まだまだ暑いから秋には早い」という声もありますが実際には夏の陰りを感じ始めます。そんな僅かな気温低下を見つけて立秋と決めた古代人の感覚は鋭いですね。俳人の島田牙城はこのような兆しを季節の始まりとする感覚と、西洋ならではのピークを季節とする感覚の違いを欧州型狩猟民族の「Season」と、極東型農耕民族の「季節」の違ひ」と呼んで説明しました。おもしろいですね。
- 今朝の秋野への轍の深きこと
- 中島月笠
蒙霧升降
-
ふかききりまとう
深い霧がたちこめる。升降は昇降、山肌を霧が昇り降りします。朝晩は冷え初め、霧のたちこめる季節に。とくに海辺や高原などで霧が発生することがあります。対になるのが立秋のころにあった霞始靆。そこでも「霞は気象用語ではなく厳密には霞は霧で」、春は霞、秋は霧と呼び分けました。立春が気温の上がり始める時、立秋が気温の下がりはじめる時とするなら、この七十二候は感覚的なものより観念的なものなのかもしれませんね。
- 霧の中声を出さねば霧と化す
- 藤井亘