Ground Control

ところかわれば

森弘子

パリ・リヨン駅のすぐ裏手にGround Control(グラウンドコントロール)という複合文化施設があります。ここは、かつてSNCF(フランス国有鉄道)が郵便の仕分け場として使っていた場所で、天井の高い4000㎡ほどの大きな空間です。人々が集い、新しいアイデアやソリューションを生み出す場として2013年にコンバージョンされ、現在も進化し続けています。

外部は郵便仕分け場の名残のプラットフォームがあり、建物内へここからアクセスします。中にはフードコート、本屋、ヘアサロンなどがあり、イベントスペースではさまざまな分野のイベントが開催されます。文化、社会問題、環境問題にまつわるゲスト、アーティスト、研究者、起業家など、共に発展していくことができる人たちと一緒に、多様な方法で環境問題や文化にアプローチしています。訪れた際には、環境問題に関するブックフェアとそれに連動したシンポジウムが行われていました。イベントは多くの人がアクセスできるようにほとんどの場合無料で参加することができます。

天気が良いとプラットフォームの周りにもビールを持った人々が集まる 外部にもいくつかの店舗やイベントスペースが設けられている

特に半分ほどの大きな空間を占めているフードコートは、Ground Controlを特徴付ける生き生きとした空間です。台湾、インド、南アメリカ料理などの他に難民の人たちによる彼らの祖国の味を味わうことのできる、各国の料理を注文できるカウンターがあります。レストランとバーの大半はEcotable(エコターブル)の認証を受けています。Ecotableは地産地消、季節のもの、オーガニック商品の割合の高さ、分別・リサイクルなどを評価し認定されたレストラン等が受けることができます。

Ground Controlは子どももよろこぶ場所です。所々にベビーチェアが置いてあり、子どもとも一緒に来やすい場所です。雨の日が多い秋のパリには子どもが自由に走り回れるうってつけ。時々子どもの誕生日会をフードコーナーの一角で行っています。持ち込みは可能ですが、環境配慮から小分けになっているペットボトルの持ち込みはゴミが増えるため指摘されていました。

右側の壁沿いに各国の料理を買うことのできるカウンターが並ぶ アルコールの提供もあり

環境に対する取り組みにも積極的で、2019年夏にプラスチックを段階的に廃止、廃棄物の堆肥化は、数年前から導入しているそうです。現在では、レストランの容器はリサイクルやコンポスト化が可能なものを使用しています。バーで提供される商品は、ほとんどがオーガニック、または家族経営の生産者のものです。以前記事にも書いたREcyclerieなど、パリではこのようなサステナブルな複合施設が増えています。

環境問題に関する本を取り扱うブックフェアが行われていた 各種環境問題に関する専門書から子ども向けの本まで取り扱いは幅広い

リヨン駅のすぐ裏手にあり、リヨン駅のホームからも直接アクセスすることができます。フランスの郊外に行くことがあれば、リヨン駅の乗り換えのついでに訪れてみてはいかがでしょうか。

Ground Control Gare de Lyon
81, rue du Charolais 75012 Paris
アクセス:Gare de Lyon 駅(1,14番線)、Reuilly-Diderot駅(1,8番線)、Montgallet駅 (8番線)
https://www.groundcontrolparis.com/