住まいのグラフィティ
Vol.30 屋根の空地
白子秀隆建築設計事務所
住宅地に建つ、親世帯・子世帯・アトリエの3つの住戸のある家です。シンプルな家型ヴォリュームの1階と2階の間に三角形の隙間「屋根の空地」を設けました。この空地は本来の「屋根」がそうであるように、立ち入ることはできますが、具体的な用途がありません。各住戸に対して、光や風をつなぎ、住人の視線や音をコントロールする環境的な役割を担っています。植栽が上下に伸びて、それぞれの住戸に浸食していくような緩やかな関係性と、何をするでもない自由で快適な居場所をつくりだしています。また、街に対して住まいを直接的に開くのではなく、屋根の空地を介して間接的に、ちょうどよい距離感の地域コミュニティが生まれることを期待しています。
白子秀隆

シンプルな家型のヴォリュームの1階と2階の間に隙間「屋根の空地」を設ける。

連窓の先に半屋外の空地がある。地域に対して間接的に開かれる。
- 2階の子世帯のインナーテラス。上部のトップライトと下階の開口から光が回り込む。
- 子世帯のリビング。袖壁によって居場所が生まれる。

中間階の「屋根の空地」。植栽が上下に浸食していく。用途のない自由な空間。
- 1階アトリエ。ルーバー越しに採光を確保している。南西側の広場と繋がる。
- 親世帯のリビング。1階でありながら勾配天井とトップライトのある開放的な空間。

道路側からの外観。切り妻の家が積層したような断面構成。