住まいのグラフィティ
Vol.31 杉の家
ぷらん・にじゅういち+建築工房アシストプラスアルファ
「杉の家」は建築工房アシストプラスアルファを主宰する沢本雅彦さんの自邸です。富山市を流れる神通川を臨む丘の上に、同社スタッフ佐藤さんの自邸と並んで2軒いっしょに建ちました。
この住宅は沢本さんとのコラボレーションから生まれました。私が基本設計を担当し、実施設計は沢本さん。工事が始まってからも何度も細かく打ち合わせをしながら進めました。
そのコラボレーションの道具として使われたのが「現代町家」の設計システムです。住宅、とりわけ自邸の場合には設計が趣味的になりがちですが、一般化できる設計をと沢本さんは考えたのでした。この場合、一般化というのは他者の共感を得られるという意味で、いわば「いいね!」がもらえる暮らしの型紙のようなものをめざしました。
趙 海光
表題写真/杉の家のベース空間。6m角の平面のなかに、土間と階段、キッチンそして居間がコンパクトにまとめられている。(撮影=室澤敏晴)
- 左が沢本邸で右が佐藤邸。2軒は前庭を共有しており、間には草花に覆われた路地。神通川に向けて視線が抜ける。(撮影=沢本雅彦)
- 表から格子戸を引いて土間に上がり、さらに玄関のガラス戸を開けると、家の中まで土間が伸びて行く。写真は土間の奥から玄関方向を見返したシーン。(撮影=沢本雅彦)
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土間から居間、そして外のデッキへと、少しずつ段差によってレベルが上がる。そのため神通川に向かって跳ね出す外のデッキに出たときは、空中に飛び出すような浮遊感がある。(撮影=室澤敏晴)
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神通川に向かって跳ね出すデッキで愛犬とお昼寝する沢本さん。デッキの広さは3×4mでおよそ7帖ほど。(撮影=沢本雅彦)
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ベース空間の2階。6m角の平面にL型の回廊があり、残りは吹き抜け。天井は杉の小幅板を目透かし貼りにしている。一番低い部分の天井高は約1.6m。(撮影=室澤敏晴)
※「杉の家」におけるコラボレーションはどのように進めていったのか。「現代町家」の設計システムとはどんなものなのか。詳しくは、『現代町家という方法——家づくりで町かどの風景を変える』(建築資料研究社, 2018年7月9日発売)にて解説。
※「杉の家」は、7月18,19日に開催する「夏の設計セミナー」にて見学を予定。