住まいのグラフィティ
Vol.44 入母屋の離れ
富永大毅建築都市計画事務所
都内としては贅沢な敷地に、母屋と並んで建つ木造家屋の建替えです。
屋根はシンプルな入母屋形式で、この入母屋を開口とし、南に迫った高い庭木からの木漏れ日が室内に落ちることで、庭側のカーテンを閉めていても庭を感じることができます。
軒を深くすることで庭で遊ぶ孫たちにとって、現在は東屋のような場所で、将来的には入母屋部分を増床可能なよう計画しており、子ども世帯4人家族が改築して住めるように設計しています。
既存家屋と2項道路セットバックに伴う大谷塀の解体に際し、材として使えるものは一旦保存し、ヒノキの柱梁やケヤキの床板は刻んで天井仕上げに、繊細な欄間は天井に、大谷石の塀は庭石と再び塀に、再利用することで、廃材の量を減らしています。
天井の高い入母屋部分は南側の窓から採光し、南北に抜ける卓越風を利用して、北側の窓から重力換気により換気することで、省エネ基準以上に断熱された空間の空調負荷を抑えています。
富永大毅

東外観。テラスが片持ちで飛び出し、庭石を滑り込ませている。
タイトルの写真は、南東外観。角が書斎となっている。

南の入母屋の窓から庭木ごしの光が落ちるリビングダイニング

リビングから東側のテラス越しに庭を眺める。

角の書斎スペース

ほぞの跡がアクセントとなる入母屋部分は、将来増築スペース
- 将来的な床荷重を見込んだ小梁がアクセントとなる小部屋天井
- 屋根と天井のズレが抜けをつくるクローゼット

主寝室。旧家屋の障子や欄間を再利用した天井から、柔らかい光が落ちる。

昭和初期の丁寧な細工でできた欄間が天井を飾る。

南側の庭と距離の近い寝室前の縁側。

再利用された大谷石と新しいブロックが交互に積まれた新しい塀。