色、いろいろの七十二候
第112回
虹蔵不見・冬茜
画/たかだみつみ
こよみの色
二十四節気
しょうせつ
小雪
砂色 #DCD3B2
七十二候
にじかくれてみえず
虹蔵不見
枯草色 #E3BE88
秋の夕焼けは釣瓶落としといわれます。まるで深井戸に釣瓶が落ちて行くようだという形容で、井戸のない生活では、これはよく分らないかも知れません。
海の日のつるべ落としや親知らず
阿波野青畝
阿波野青畝
釣瓶落とし家裏に抜く葱二本
相馬遷子
相馬遷子
けれど、この二つの句を読むと、意味は通じるのではないでしょうか。
秋の夕焼けが釣瓶落としなら、冬の夕焼けはもっと早く、あっという間のものです。冬茜という形容は、だれが考えたのか知りませんが、一番寒いときに、夕焼けが際立つ一瞬をうまく表わしています。それも赤ではなく、茜。
茜色は、薬用・染料植物アカネの根で染めた暗い赤色をいいます。日本では、紅花よりも古くから赤色の染料として用いられてきました。アカネを染料にしている色は、他に緋色があります。こちらは鮮やかな赤色で、茜色より明るい色です。
茜は、春茜、夏茜、秋茜、冬茜と、四季折々に用いられます。夏と秋はトンボの名前で、春と冬は夕焼け空をいいます。
石くれ仏ひしめくかぎり冬茜
文挾夫佐恵
文挾夫佐恵
大分の臼杵に行ったとき、茜色の光のたゆたいのなか石仏がありました。この句は、そのときのことを思い起こさせてくれました。
※リニューアルする前の住まいマガジンびおから再掲載しました。
(2011年11月23日の過去記事より再掲載)
(2011年11月23日の過去記事より再掲載)