立春
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りっしゅん
春になること。日脚が伸び、梅が咲き始めます。立春は雑節という日本独自の農事暦の起算日であり、八十八夜や二百十日はこの立春から数えています。禅寺などでは門に立春大吉と墨書した紙を貼り、その文字は線対称で吉祥。言葉のうえでは春でも、まだまだ寒いです。本来は冬の言葉ですけれど、三寒四温といわれるように一進一退の日々です。
- 立春の米こぼれをり葛西橋
- 石田波郷
東風解凍
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はるかぜこおりをとく
春風が氷を融かす。この春風は春の雨を日本列島に呼び寄せます。東風は本来「こち」と読みますが、春風のひとつ。「はるかぜ」と言うよりも文字数が短くつまっているので、なんだか寒そうにも聞こえます。「東風吹かば匂ひおこせよ梅の花あるじなしとて春を忘るな/菅原道真」で使われるような雅語のようでもあり、漁師言葉のようでもあり。
- 少年が少女に東風をけしかける
- 竹岡一郎