ヨリドコロえんがわ

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こちら、えんがわ郵便局です

ヨリドコロえんがわの入り口ではくまもんがお出迎え

老若男女、さまざまな人が訪れる「ヨリドコロえんがわ」。
お店としてだけでなく、利用方法も人それぞれです。

近くには、バス停があるので、バスの待合所のようになったり、お友達同士の待ち合わせの場所になったり、ときには郵便屋さんにお願いして、えんがわで荷物の受け渡しをされることもありました。
いつしか、スタッフに贈り物のプレゼントを預けて、「あの人が来たら渡しておいてください」などと言い出す人まで。笑

なんだか面白くなってきたなぁと思いながら過ごしていると、ある日、代表ミズタの物置で古い郵便ポストと出会いました。
ミズタは、とにかく古いものが大好きで、ゴミではないかと思うようなものも集めては、その物置に入れています。笑
古くて面白い道具がある物置

でも、ふとした時に、「これは使える!」と思うようなものも多く、意外と役に立っているのです。

古い郵便ポストもその一つでした。
「いつか使うために買ったんだ」とミズタは言います。やっとその時がきたようです。

早速、ヨリドコロえんがわの店内に設置しました。
長年使用して、何度も塗装をし直した形跡の残る、雰囲気のあるポストです。

ポスト

あなた、どこからきたの?と調べてみると、熊本の北の地域からでした。

設置するなり、可愛い!と注目を浴びるようになったポスト。
その役割は、やっぱりポスト。
みなさんのお荷物やお手紙を預かります。
ただし、「生モノや、なくなったら困るものは入れないでね。」

みんなのポスト

みんなのポスト

そして、もう一つのお仕事として、人と人とを繋げるポストになってほしいという役割を与えました。
ヨリドコロえんがわを訪れた方に、「名前も知らない誰かへ」というタイトルで自由にお手紙を書いて頂き、次に訪れた方がその手紙を見て、また次の誰かへメッセージを送る。
名前も知らない誰かへメッセージを送ることは、一見難しいように思いますが、意外と皆さんスラスラと、楽しそうに書いてくれています。

手紙

名前も知らない誰かを想いながら、、、

そして、知らない誰かからのお手紙を受け取った方は、にっこりと微笑んでくれています。どんな内容が書いてあるのかは本人が知るところですが、自己紹介に続き、読まれた方が優しい気持ちになれるような文章が多いようです。

便利な世の中ですが、ときには手書きでお手紙を書いたり、知らない誰かを想うことも良いのではないかと改めて実感します。

ヨリドコロえんがわの店内

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著者について

森川瞳

森川瞳もりかわ・ひとみ
熊本県熊本市出身。
5人兄弟の末っ子で、小さい頃の遊びは、兄達と虫探しや自然遊びをすることばかり。10代後半に犬小屋を建てたことがきっかけで、木工をはじめる。
23歳のとき、本物の家具職人の仕事を見るため一年間、飛騨高山へ。
そこで体験した出来事や出会った方々が刺激となり、木材だけでなく、森への関心を生む。
熊本へ戻り、「木や森のことを伝えること」を目的とした木工教室をはじめる。その後、教室がきっかけでミズタホームに入社。
現在は「樹子工房」という名前で家具小物の製作や、木工教室、広報、企画、ショップの管理などを担当している。

連載について

熊本甲佐町にあるその店は、日々「何かしたい」と「何か感じたい」の気持ちに溢れる人達が寄り集まる場所となっています。 ある日は一日カフェ店長として、ある日はフラリ訪れてみたお客として、またある日は駆られた衝動で作り上げたモノを売る創作家として…。 "作る喜び" と "生きる喜び" が緩やかに漂うレンタルカフェ&スペース「ヨリドコロえんがわ」より、工務店女子兼店長である森川瞳さんが、日々の体験や思ったことを綴ってくれます。