ヨリドコロえんがわ

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木の家は小さな端材から

ヨリドコロえんがわの入り口ではくまもんがお出迎え
ヨリドコロえんがわの一角に、だれでも無料で、お好きなだけ持ち帰ることができる木の端材BOXを設置していて、これが思った以上に人気を集めています。
熊本の木の端材
「端材BOX」
学校帰りの子ども達がもらっていくだろうと思っていると、意外にも主婦の方やお年寄りまで。
鍋敷きに使うとか、磨いて積み木にする。
中には、端材をじっくり眺め、う~ん、と考え込まれている人もいて、「何に使われますか?」とお聞きすることが私のちょっとした楽しみでもあります。
「この溝をうまく利用して写真立てにできないかなぁ・・・」
「家を自分でリフォームしていて、この端材を壁一面に貼り付けたい」
などと面白いアイデアも沢山です。
端材BOXがなければ、きっとこの木材たちは薪となっていたことでしょう。薪も立派な活用法ですが、できるだけ最後の手段にしたいのは、きっと端材達も思っているはず。。。

サンダーをかけてテーブル作り中

「端材を使ったテーブルづくり」

さて、この小さな端材たち。
実はお客様に持ち帰ってもらった後に、とても大切な役割を果たしてくれています。
単純に暮らしに便利なものや、子どもたちのおもちゃになるだけでなく、きっと、私たちが無意識に木の質感や香り、重さなどを感じ、木の記憶として大切な感性の部分に残されていくのではないかと思っています。
だからこそ、端材BOXには、天然乾燥で無塗装のものを入れています。
中には角が尖っているものや、荒材、変形してる木材もありますが、形がそろった綺麗な木材では感じることのできない、木の姿を知り、その上で「木っていいね」と思って下さる方々もいらっしゃると思います。
最近では家具や住まいも無塗装やオイル塗装など、自然に近いものを好む方が増えているようです。
環境や健康を意識されての方もいらっしゃいますが、やはり人間も自然の一部なので、きっと本能的に自然に近いものを求めるのではないでしょうか。
小さな端材が、木を好きになるきっかけになり、繋がる地産地消の家づくり。そして、日本の森が豊かになることを願います。

柱に抱きつく子供たち
「木って気持ちいいね」
木の端材で遊ぶ子供たち

「かんな屑プール、楽しそう」

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著者について

森川瞳

森川瞳もりかわ・ひとみ
熊本県熊本市出身。
5人兄弟の末っ子で、小さい頃の遊びは、兄達と虫探しや自然遊びをすることばかり。10代後半に犬小屋を建てたことがきっかけで、木工をはじめる。
23歳のとき、本物の家具職人の仕事を見るため一年間、飛騨高山へ。
そこで体験した出来事や出会った方々が刺激となり、木材だけでなく、森への関心を生む。
熊本へ戻り、「木や森のことを伝えること」を目的とした木工教室をはじめる。その後、教室がきっかけでミズタホームに入社。
現在は「樹子工房」という名前で家具小物の製作や、木工教室、広報、企画、ショップの管理などを担当している。

連載について

熊本甲佐町にあるその店は、日々「何かしたい」と「何か感じたい」の気持ちに溢れる人達が寄り集まる場所となっています。 ある日は一日カフェ店長として、ある日はフラリ訪れてみたお客として、またある日は駆られた衝動で作り上げたモノを売る創作家として…。 "作る喜び" と "生きる喜び" が緩やかに漂うレンタルカフェ&スペース「ヨリドコロえんがわ」より、工務店女子兼店長である森川瞳さんが、日々の体験や思ったことを綴ってくれます。