びおの珠玉記事
第124回
旬のデータ 春の魚介・海藻類
※リニューアルする前の住まいマガジンびおから珠玉記事を再掲載しました。
(2009年04月05日の過去記事より再掲載)
はまぐり(旬/12月~3月)
春先は生殖腺が発達し、身も太っていておいしい。
国内産は激減しており、輸入物や、それを日本の海に放流したものなどが流通している。
選び方
殻に光沢があって、溝がなく、口が閉じているものを選ぶ。
2個のはまぐりを打ち合わせて澄んだ高い音がすれば新鮮。
口が半開きのものは鮮度が落ちる。
料理の例
焼きはまぐり、吸い物、潮汁、酒蒸し、はまぐりご飯、刺身、天ぷら、クラムチャウダーなど。
地域名・別名
じはま(築地市場)
しらうお(白魚)(旬/1月~4月)
昔は大量に獲れたが、環境悪化により漁獲量が激減し、入手しにくい魚になってしまった。かつては隅田川でたくさん獲れ、江戸の春の風物詩だったという。
選び方
身は鮮度が落ちるにしたがって白っぽくなっていくので、透明感のあるものほど新鮮。
目が黒く澄んで、体に張りがあって透明なものを選ぶ。
料理の例
刺身、すし種、酢の物、卵とじ、かき揚げ、すまし汁、干物、佃煮など。
地域名・別名
あまさぎ(富山)、すべり・しらす(石川)、しれよ(八郎潟)、しらゆ(佐渡)、ふ(島根)
いいだこ(旬/2月~4月)
選び方
張りがある新鮮なものを選ぶ。
料理の例
煮物、鍋物、おでん、炒め物、から揚げ、フライ、塩辛、干物など。
地域名・別名
特になし
いかなご(旬/2月~4月)
体長1〜3cmの稚魚はチリメン、3〜6cmのものはコスジ、10cm前後でコウナゴ(小女子)やチュウナゴ(中女子)、10cmを超えるとオオナゴ(大女子)と呼ばれる。
鮮度が早く落ちるので、漁場ですぐにゆでて釜揚げされることが多い。
選び方
背中の青緑色や黄褐色が強く、腹に張りがあって、つやのあるきれいな銀白色のものが新鮮。
料理の例
伝統的ないかなごの食べ方は、釜揚げが基本。鮮度が勝負なので、ほとんどが産地でちりめんなどに加工され、出荷される。こうなごの佃煮である「くぎ煮」は兵庫の代表的な家庭料理。成魚は刺身、天ぷら、蒲焼きなど。
地域名・別名
こうなご(東京)、めろうど(東北)、かなぎ(九州)、かますご(稚魚・関西)
しろうお(素魚)(旬/2月~4月)
選び方
体が小さいので鮮度が落ちるのが早く、鮮度が落ちると味が極端に悪くなる。透明感や弾力があり、形くずれのないものを選ぶ。
料理の例
しろうおの代表的な食べ方は「踊り食い」。博多名物として有名で、新鮮なものを二杯酢で生きたまま飲み込む。飲み込む際の食感、喉ごしを楽しむ。その他、卵とじ、かき揚げなど。
地域名・別名
いさざ(新潟)、ぎゃふ(三重)、しらや(秋田)、ひうお(茨城・徳島)、しらうお(全国)
まだい(真鯛)(旬/2月~4月)
身は生臭さやくせがなく、淡白な中に豊かな風味がある。
選び方
目の上が青く、体色が金赤色で透明感があり、身の締まったものが新鮮。身が厚く、尾に幅があって太っているものを選ぶ。養殖物は体が黒く、尾びれの真ん中が折れていて茶褐色。
料理の例
刺身(松皮造り)、すし種、焼き物、蒸し物、煮物、揚げ物、鍋物、汁物など、どんな調理法にも適する。うろこはから揚げに、卵巣の白子は酢の物に、頭はかぶと煮に、中落ちは潮汁に、というように捨てるところがない魚。
地域名・別名
おおだい、たい(一般)、ほんだい(東海以西)、めばち(和歌山)、たいご(高知)、たいのゆう(奄美名瀬)、めぬけだい(長崎)、かすご(幼魚・千葉)、まこだい(幼魚・鹿児島)
めばる(旬/2月~5月)
淡白でしまった白身で、適度に脂がありながら、さっぱりとして骨離れがよい。消化もよく胃への負担も少ない。
選び方
大きさは20cmくらいがよく、これより大きすぎても小さすぎても脂がない。
目が澄んでいて、身がしっかりしていて張りのあるもの、皮目が薄い感じのもので、みずみずしい光沢があるものを選ぶ。
料理の例
塩焼き、照り焼き、煮付け、刺身、蒸し物、から揚げ、南蛮漬けなど。
地域名・別名
あかめばる、くろめばる、しろめばる、きんめばる(各地)、めまる(関西)、めばち(東北、北陸、京都、兵庫)、てり(秋田県男鹿)、はちめ(北陸)、めはる(千葉県銚子)、くろはちめ・てんこ(新潟・山形)、めばり(島根)、あおんじょ・あかんじょ(和歌山)
わかめ(旬/2月~5月)
近年はほとんどが養殖のもの。天然ものは量が少ないが、肉厚で柔らかくて香りが高い。
選び方
生わかめは、濃緑色でつやがあり、厚みと弾力があるものを選ぶ。古くなると黒ずんでくるので注意する。
塩蔵のものは、すじっぽくなく、黒っぽい緑色のものを選ぶ。
乾燥わかめは、大きさが均一でツヤのあるものがよい。
料理の例
味噌汁、スープ、酢の物、サラダ、煮物など。
工夫次第でさまざまな利用が可能。
地域名・別名
めのは(壱岐・対馬)、きしめ(石川)
ひじき(旬/2月~5月)
選び方
生ひじきは、黒みが強く、つやがあり、ふっくらしたものを選ぶ。干しひじきは、よく乾燥し、大きさが均一で、色が黒く色むらがなく、つやがあるものを選ぶ。
料理の例
煮物、サラダ、和え物、炊き込みご飯など。
地域名・別名
特になし
あさり
(旬/3月〜4月 9月)
選び方
殻つきは、殻を固く閉じ、塩水に入れると水管を出すもの、殻の表面にぬめりがあり、殻がうすくて模様の鮮明なものを選ぶ。
むき身は、身が張って弾力のあるもの、つやのあるものを選ぶ。潮の香りがするものは鮮度がよい。
料理の例
味噌汁、すまし汁、かき揚げ、深川飯、酒蒸し、クラムチャウダー、ブイヤベース、スパゲティボンゴレ、ワイン蒸しなど。
地域名・別名
いそも(広島)、いしげ、きしめがい、こがい
ほたるいか(旬/3月~5月)
選び方
身が太ってころころしているもの。ボイルしたものは、身がふっくらして濃い桜色のものがよい。
料理の例
浜で丸ゆでする「桜煮」が本道。さっと火を通す程度に茹で上げたり、甘辛く煮込んで食べるととてもおいしい。刺身、酢味噌和え、天ぷら、網焼き、沖漬け、甘露煮など。
地域名・別名
まついか、こいか(富山)
さより(旬/3月~5月)
上品な白身、うっすらのった脂がおいしい。
大型のものほど味がよい。
選び方
下あご先端のの紅色が鮮やかなもの、目の黒い部分と白い部分がはっきりとしているものが新鮮。身体の銀色がきれいで腹部が褐色に変色していないもの、張りのあるものを選ぶ。
料理の例
「細造り」や「糸造り」と呼ばれる細く切った刺身、すし種、天ぷら、酢の物、ムニエル、フリッター、一夜干しなど。「結びさより」として吸い物にも使われる。
地域名・別名
かんぬき(大きな個体、関東)、すず(関西)、くちなが(岩手)、はりうお(新潟)、せろ(千葉)、ほそくちうお(岐阜)、しまざいら(三重)、さいち(高知)、ながいわし(鹿児島)
さわら(鰆)(旬/関西・瀬戸内海では3月〜5月)
淡白でくせのない上品な白身。他の魚と異なり、腹よりも尾に近い部分がおいしい。
選び方
色ツヤがよく、身がかたく締まっているもの、斑点が鮮やかなものを選ぶ。切り身の場合、皮がみずみずしく張りがあり、身に透明感・弾力のあるものを選ぶ。
料理の例
瀬戸内海や関西地方では、西京漬けや西京焼きが有名。関東では晩秋から冬に刺身で味わう。その他、塩焼き、照り焼き、蒸し物、天ぷら、フライ、ムニエルなど。
地域名・別名
さごち(全長50cm以下・関東)、さごし(全長50cm以下・関西)、やなぎ(全長50cm以上・関西)、かまち(九州)、グッテリ(四国)、サーラ(愛媛、沖縄)
にしん、数の子(旬/3月~5月)
かつては大量に獲れ大衆魚の代名詞だったが、近年では漁獲量が激減している。
選び方
うろこが多くついていて、肌が銀色で光沢のあるものを選ぶ。古くなると、エラに血がにじんでくる。数の子は、黄色が濃く、粒がそろっているものを選ぶ。
料理の例
塩焼き、蒲焼き、酢漬けの他、干物、身欠きにしんなどに利用される。京都の「にしん蕎麦」は名物。数の子は塩抜きをして、鰹節をかけてしょうゆ味が定番。
地域名・別名
かど、かどいわし(東北、北海道)、さめいわし(壱岐)、にしんいわし(富山)、めまる(和歌山)
さくらえび(旬/3月〜6月 10月〜12月)
漁獲シーズンには生、釜揚げが賞味されるが、乾燥保存したものが広く利用されている。
日本でさくらえびの漁獲をしているのは駿河湾だけ。
選び方
産卵前の春のさくらえびの方が、秋のものより大きい。大きめのものが風味がよく、甘みも強い。
料理の例
刺身、釜揚げ、干しえび。
かき揚げ、佃煮、さくらえびご飯、「沖あがり」など。
地域名・別名
特になし
さざえ(旬/3月〜6月)
選び方
大人のこぶしくらいの大きさで、殻が薄く、重みのあるものを選ぶ。振っても音がせず、ふたを触ると身が引っ込むものが新鮮。
料理の例
つぼ焼き、刺身など。肝もゆがいたり、煮つけで食べる。
地域名・別名
特になし
しらえび(旬/4月~6月)
まとまって獲れるのは世界でも富山湾だけ。
選び方
殻に艶があって透明感の残っている物であれば刺身で食べられる。すでに白くなっていても加熱調理するのなら問題ない。さらに鮮度が落ちると頭部などが黒く変色してくるので、そのようなものは避ける。
料理の例
刺身、かき揚げ、素揚げ、茶碗蒸し、炊き込みご飯、押しずし、昆布〆め、汁物のだしなど。
地域名・別名
べっこうえび、さくらえび
「旬の食材 春の魚」 講談社 編 講談社、2004年
「さばきもわかる食材魚図鑑」 池田書店編集部 編 池田書店、2008年
「日本のおいしい食材事典」 江上佳奈美 監修 ナツメ社、2009年
「食材図鑑 魚」 佐藤魚水 監修 永岡書店、1997年
「スーパーで買える魚図鑑」 セマーナ 編 日本文芸社、2002年
イラスト:木下俊司