白露
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はくろ
秋気が進み露が白くなる。風のない夜に地面や草木が冷えると水蒸気が水滴となり露がおります。万葉集のころから「わが背子を大和へ遣るとさ夜更けて暁露にわが立ち霑れし/大泊皇女」のように露は涙の隠喩として使われてきました。なぜ白露かと言えば陰陽五行説で秋と西は白で表現されるからで、凍るからではありません。このころは帰る鳥、渡り来る鳥ありで空もにぎやかに。雑節では二百二十日も二百十日と同じく台風が多い日とされています。
- 手習の仮名も白露の夕べかな
- 笹尾操
玄鳥去
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つばめさる
燕が南へ帰る。燕は夏に二回子育てをします。大きくなり、自分で餌を捕れるようになった若い燕たちは巣立ってからしばらくは湿原などで群をつくり生活をします。秋になると育雛を終えた親鳥と若燕の第二陣が合わさって大群をつくります。そして体力のある年長の燕から南へ帰りますが、もしかしたらオスカー・ワイルドの『幸福な王子』のように南へ帰れなかった燕もいるかもしれません。
- 日時計の石痩せにけり秋燕
- 堀下翔