白露
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はくろ
秋気が進み露が白くなる。風のない夜に地面や草木が冷えると水蒸気が水滴となり露がおります。万葉集のころから「わが背子を大和へ遣るとさ夜更けて暁露にわが立ち霑れし/大泊皇女」のように露は涙の隠喩として使われてきました。なぜ白露かと言えば陰陽五行説で秋と西は白で表現されるからで、凍るからではありません。このころは帰る鳥、渡り来る鳥ありで空もにぎやかに。雑節では二百二十日も二百十日と同じく台風が多い日とされています。
- 手習の仮名も白露の夕べかな
- 笹尾操
草露白
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くさのつゆしろし
草花に降りた露が白い。二十四節気の白露と重複しており、つまらないですね。九月九日は重陽の節句で、もともと旧暦九月を想定していたので菊酒を煽る菊の節句とも呼ばれています。重陽には中国では茱萸を入れた袋を持って高い場所に登る習慣があったとされます。松尾芭蕉も終焉の地大阪への旅で暗峠を登り「菊の香にくらがり登る節句かな」の句を残しています。馬鹿と煙はなんちゃらと言いますが重陽の節句に高いところへ登るのも一興です。
- 牛と馬ととなり合せや露の宿
- 景山筍吉