白露
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はくろ
秋気が進み露が白くなる。風のない夜に地面や草木が冷えると水蒸気が水滴となり露がおります。万葉集のころから「わが背子を大和へ遣るとさ夜更けて暁露にわが立ち霑れし/大泊皇女」のように露は涙の隠喩として使われてきました。なぜ白露かと言えば陰陽五行説で秋と西は白で表現されるからで、凍るからではありません。このころは帰る鳥、渡り来る鳥ありで空もにぎやかに。雑節では二百二十日も二百十日と同じく台風が多い日とされています。
- 手習の仮名も白露の夕べかな
- 笹尾操
鶺鴒鳴
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せきれいなく
いしたたきが鳴く。右の旁に鳥が三つ並ぶのが壮観ですね。鶫や雀と並んでよく里でみかけるこの小鳥は稲負鳥とも呼ばれ、稲の成熟に合せこのころの鳴きを季節のものとして愛でるようになりました。背黒鶺鴒よりおもに黄鶺鴒を指すとされています。鶺鴒は伊弉諾と伊弉冉に国産みの仕方を尾を振って教えたように神話にもよく出る鳥です。色鳥や小鳥来と季語にあるようにさまざまな小鳥が木の実や稲などを目当てに里におりてくるので散歩が楽しくなりますね。
- 鶺鴒の吹分れても遠からず
- 阿波野青畝