啓蟄
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けいちつ
土の中で冬籠していた地虫や蟻や蛇や蛙などが穴を出る。「蟄」は土のなかの虫、「啓」はひらくことを意味しています。このころに落ちる雷を虫出しの雷とも呼びます。移動するのは虫だけではなく、人間も進学先が決まったり、勤務地が変わったりで家を出て移動しはじめる時季となりました。仲春のころで、段々とあたたかくなり動きやすい季節になってきたということでもあります。
- 啓蟄や埃をはたく車椅子
- 丸林袖川
桃始笑
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ももはじめてさく
桃の花が咲く。春のころに咲く花といえば梅の花、桜の花、これら著名なふたつの花に挟まれて桃の花はあまり目立たず、江戸時代の俳諧師たちにもあまり人気はありませんでした。それでも雛祭りとともに確固たる地位を維持しているのが桃の花です。ただ梅や桜と違い桃源境をイメージさせるため中国趣味が高いのもまた事実。そういえば雛祭りも中国の上巳が起源でしたね。陽気に行きましょう。
- 桃の花猫町はさう遠くない
- 間村俊一