啓蟄
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けいちつ
土の中で冬籠していた地虫や蟻や蛇や蛙などが穴を出る。「蟄」は土のなかの虫、「啓」はひらくことを意味しています。このころに落ちる雷を虫出しの雷とも呼びます。移動するのは虫だけではなく、人間も進学先が決まったり、勤務地が変わったりで家を出て移動しはじめる時季となりました。仲春のころで、段々とあたたかくなり動きやすい季節になってきたということです。
- 啓蟄や埃をはたく車椅子
- 丸林袖川
蟄虫啓戸
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すごもりむしとをひらく
冬籠していた虫が出てくる。秋分の次候である蟄虫坏戸のころに戸を壊した虫が穴を開いて出てきます。二十四節気の啓蟄とほとんど同じですね。ちなみに本家中国ではこの時季は「桃始華」で日本の啓蟄次候である「桃始笑」と同じ意味でひとつずらしただけです。霜降と霜始降、雨水と土脉潤起のときもそうでしたが二十四節気と七十二候がほぼ同じ内容なんてのはちょっと創意工夫がないような気がします。
- 地虫出づ吸ひ取り紙に字のかけら
- 西原天気