処暑
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しょしょ
暑さが止む。とはいえ、まだまだ暑い日が続きます。雑節の二百十日は台風や強風が多い厄日とされ、富山市のおわら風の盆など風鎮めの祭が各地で催されます。稲作にとっても出穂期で風に気を配る季節なのでしょう。宮沢賢治の「風の又三郎」にも「二百十日で来たのだな」という科白があるように処暑は不穏な風の季節です。さて今年はどんな風が吹き荒れるでしょう。
- 二百十日塀きれぎれに蔦の骨
- 横光利一
綿柎開
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わたのはなしべひらく
棉を包む萼が開く。棉の花が咲いたあと果実がはじけて棉が溢れます。繊維である綿を採れる棉の原産はメキシコで、栽培はインドで盛んでした。そのインドの綿織物に対抗して勃発したのがイギリスの綿工業における産業革命であり、ヨーロッパへ綿を輸出するアメリカ南部の奴隷制と綿花のプランテーションが南北戦争の一つの原因となりました。人の暮らしとつながりの深い植物です。
- 旅にして棉笑む風の北よりす
- 臼田亜浪