雨水
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うすい
あたたかくなり雪は雨に、雪や氷は水となります。雪氷は雨水に、土は濡れてぐちゃぐちゃに。雛人形を出したり農耕の準備をはじめたりするころです。この時季から強い日本海低気圧を一因として春一番が吹きます。春一番は漁民の言葉から気象用語になった言葉で春二番や春三番があることもあり、「春二番三番四番五番馬鹿/三橋敏雄」という俳句も。まだ風は冷たいけれど、もうすぐあたたかくなります。
- 遊ぶことばかりかんがへ春の泥
- 田中裕明
草木萠動
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そうもくめばえいずる
草や木が芽吹く。下萌といって草の芽が土から顔を出したり木の芽が吹いたりして枯れた里山に色がつきはじめます。この時期に女の子の成長を祈る雛祭りがあります。もとは上巳という、水辺で禊をしたり曲水の宴を楽しみ行事でしたが、人形に身体の穢れを移して川に流す行事が雛人形を飾る行事へ変化しました。雛流しをする地域は古い慣習の核が残っています。雛をしまうのが遅れると……の逸話は晩婚化の時代にも言えるのでしょうか?
- つれだちて雛拝見の老妓かな
- 下田實花