実はそれ、フランス語です

ところかわれば

森弘子

フランス・パリに移住したのは2018年の2月ですが、準備のためにその少し前の11月からフランス語の勉強を始めました。気づけば丸6年・・・文字通りゼロスタートで、1,2,3 / un, deux, trois(アン、ドゥ、トロワ)から初めて、なんとかフランスの大学院の授業にもクラスメイトや翻訳ソフトの多大な助けを得ながらついていける程度になりました。(実は個人的には早口なパリ市民、特にスラングなどを使う若者との日常会話の方が、専門用語や研究用語が繰り返し出てくる大学院の授業より理解できません・・・)

語学の勉強は、その言語を喋る人とコミュニケーションが直接とれるようになったり、本やインターネットで得られるリソースが格段に増えるというメリットもありますが、個人的には「え?この日本語実はこの言語から来ていたの?」という発見が密かな楽しみです。

今回はいつもの記事とはちょっと趣旨を変えて、6年間フランス語を学んできて、個人的に目から鱗だった「実はそれフランス語です」という語彙を7つピックアップしたいと思います。

1. アンコール = encore
発音としては“アンコー”に近いです。日本語での音楽会などの終わりに使う意味でのアンコールには「bis(ビズ)」を用います。フランス語においては日本語の「もう一度」というニュアンスよりも「まだ」や「もっと」という意味で使います。例えばElle dort encore.(彼女まだ寝ているよ)、Encore, s’il vous plaît.((レストランなどで)もっとください)など。

2. デビュー = début
フランス語では語尾を伸ばさず、“デビュ”という感じです。これは日本語とも同じで、「初め」や「初登場」(複数形débutsとする)と言う意味で使います。よく使うのは au début(初めに)です。

3. パフェ = parfait
日本の喫茶店で時たま見かけるパフェ。これも実はフランス語で、「完全な、完璧な」という意味です。元々は、生クリーム、卵、香味料(グランマルニエなど)で作り、それを凍らせた濃厚な冷たいデザートだったそうです。現代では日本のものと同様のアイスにフルーツなどを乗せたものに変化してきているようですが、実際には道端のカフェではほとんど見かけず、もっぱら家で作るデザートという感覚のようです。

parfait

Parfaitのレシピは多くあるが元々はコーヒー味だったそうで、このような形のコーヒー味のものを多く見かける19世紀半ばに凍らせる技術が発展したこと、またイタリアやフランスにコーヒーが持ち込まれ流行したこともあり、パリのカフェを中心に提供されたとのこと
出典:croquegel / Parfait café
https://www.croquegel.com/boutique/details/4-parfait-cafe-332g-0007179

4. アンケート = enquête
大学院で学び始めて発見した日本語になっているフランス語です。それまでは英語だと思っていましたが、実はフランス語。英語ではアンケートとは言わず、questionnaireまたはinvestigationです。発音は”アンケットゥ”。

5. クーデター = coup d’État
フランス語での発音はク デタとなります。coupがク(フランス語は原則語尾の子音は発音しません)、d’Étatがデタ(前置詞のdeが母音のÉとリエゾン(連音)となりデの発音になります)。coupは「打撃、企み」などの意味があり、Étatは大文字から始めると「国家、州」という意味になります。(小文字で始まるétatは「状態、身分」などの意味) アンコールやアンケートはなんとなくフランス語っぽい音かも・・・と思いましたが、クーデターは全く想像せず、個人的には一番驚いた語彙かもしれません。

6. パーセント = pour cent
正確には日本語で言うパーセントという語彙自体はpourcentage(プルサンタージュ)ですが、例えば「10パーセントの税」というと”10 pour cent de taxe”(ディ プル サン ドゥ タクス)と書きます。pourは英語でいうforと同じ使い方でたくさんの意味がありますが、ここでは比較の意味で使い「に対し」、centは「百」を意味します。これは元々はフランス語というよりもラテン語のper centumが語源です。日本語でパーセントというと、個人的には多くのカタカナ用語と同じで、言葉の意味を考えずそのまま使っていたのですが、フランス語を学ぶ過程で、pourとcentを別々に習い、確かにパーセントの元々の定義である「100分の」だなあ、と意識するようになりました。

7. メートル = mètre
英語かと思われた方も多いかもしれませんが、英語ではmeterと綴り、発音はミーターに近くなります。フランス語ではmètreはメートルと発音し(èはアクセントグラーヴといい、エーと伸ばします)、日本語はこれにより近い音です。メートルは語彙だけでなく、実は定義もフランスで生み出されたものです。メートルは、1791年にフランス科学アカデミーがフランスのダンケルクとスペインのバルセロナの間で子午線の実測を行い、その結果から導き出された子午線の長さの4000万分の1を、長さにおける国際単位系の基本単位として1メートルと定義しました。その後、定義が幾度か直され、現在は1983年に定義された光が真空中を299,792,458分の1秒間に進む距離が1メートルとされています。
(Weblio辞書 航空軍事用語辞典++ 参照)

mètre-étalon

国際基準としてメートルが定義され、それを一般化するために、市民が多く集まる場所16箇所に写真のような大理石でできたメートル標準計器(mètre-étalon)が設置された  設置は1796年2月から1797年12月にかけて行われ、現在では2つのみ残っており、この写真のパリ6区のものが場所も設置当初と位置が変わっていない唯一のもの
所在地:36 Ruede Vaugirard, 75006 Paris Googlemap

意外に身近なところにあるフランス語。街中や新聞などで見かけるカタカナ語の中にも実はフランス語が潜んでいるかもしれません。