企画展『Cabanes』

ところかわれば

森弘子

パリの北東部、ラ・ヴィレットにあるcité des sciences et de l’industrieでは、現在企画展の『Cabanes』が開催されています。Cabaneはフランス語で小屋のこと。誰もがワクワクする自分の身体をすっぽりおおう小さな空間。多くの人が子どもの頃に一度は自分のための小屋を、ダンボールや毛布で作ったことがあるのではないでしょうか?この企画展『Cabanes』では、イラストレーターやアーティストによってデザインされた小屋が20棟展示されており、実際に入って遊ぶことができます。

自分で自由な形に折れる小屋、外から見ると3棟の同じ木の小屋に見えるけれど中の仕上げがちがう小屋、屋根の高さを変え子どもたちだけのための空間に変えられる小屋(「大人立ち入り禁止」の札をかけられる!)など、それぞれ特徴きわだつユニークな小屋が、ところせましと配置されています。

ところかわれば フランス Cabanesパリ 

展示空間の照明は全体的に暗め。展示空間自体が小屋の中のようなちょっと暗がりのワクワクする空間になっている。

中でも最も人気があったのは会場の中央に配置された子どもたちが手を加えられる小屋。さすがに誰もがこれにはウズウズ。子どもだけでなく同伴の大人も混じって大興奮で思い思いに布や細い木の棒をアレンジしていました。

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スポンジの棒を渡したり、布で囲いを作ったり。危なくないよう木材は全て角が丸く落とされている。空間の大きさも、大人にも子どもにもちょうど良い居心地のいいスケール。

Cabanes展の小屋は歩けるくらいになった子どもたちが特に楽しめますが、まだ歩けない小さな子どもでも十分に楽しめます。実際、息子(生後4ヶ月)はまだ歩けませんが、鏡が全面に貼られている小屋の中に入ったり、小屋からぶら下がっている紐を引っ張ったりして遊んでいました。Cabanes展の会場へは、ベビーカーは入場不可ですが、入り口で抱っこ紐(首すわり前対応)を無料で借りることができます。ベビーカーを置く場所とコインロッカーも会場のすぐ脇にあり、向かいのトイレにはおむつ交換台も完備されています。

展示会の企画委員会には小児精神科医、人類学者、建築家が参加しており、展示は子どもたちの自由な表現を促進し、子どもたちの好奇心を刺激するように設計されています。「大人」によって用意された遊具ではなく、子どもたちの想像力を広げるためにデザインされた小屋たち。きっと専門家たちでさえも想像しなかったような楽しみ方を子どもたちは小屋の中に発見したのではないでしょうか?

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中には「これは小屋??」というようなユニークなデザイン、仕掛けのあるものも。

他にもcité des sciences et de l’industrie(シテ科学産業博物館)では、子ども向けのイベントや展示をたくさん開催しています。展示以外にも、プラネタリウムや水族館、映画館(ラ・ジェオード)などがあり家族連れでも、もちろん大人だけでも楽しめます。『Cabanes』の展示期間は2020年1月頭までと長いので、休暇などでパリにお越しの際は、他の施設も合わせてぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。きっと子どもの頃のなつかしい感覚がよみがえってくると思います。

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cité des sciences et de l’industrieの中央部の吹き抜け。吹き抜けを中心に複数の展示室がある他、レストランやイベントスペースなどもあり一日いても楽しめる。運河を挟んでラ・ヴィレット公園もあるので、天気が良ければピクニックをついでに。

◆cité sciences et industrie 『Cabanes』
[会期]
2018年12月22日(木)〜2020年1月5日(日) チケット制
[開館時間]
火曜から土曜10:00〜18:00、日曜10:00〜19:00、月曜休み
[アクセス]
最寄りPorte de la Villette駅 メトロ7番線、バス139,150,152、トラムT3b
30, abenue Corentin-Cariou 75019 Paris
[ウェブサイト]
http://www.cite-sciences.fr/fr