住まいのグラフィティ

Vol.4  中久万の家
梅原佑司建築事務所

敷地は交通量の激しい大通りから少し入り、坂を上った場所にあります。北、西、南と住宅が密集し、東の道路側のみが開けた場所に家族4人の住まいを計画しました。
周囲を住宅で囲まれたこの場所で最も気持ちの良い場所、2階レベルの道路側にリビング、2台分の駐車スペースとしてインナーガレージ、その上にリビングから外に出られる広いバルコニーをつくりました。建物は8.1m正方形(4.5間角)の2階建手のボリュームにガレージの屋根となるバルコニー部分を付属させるシンプルな構成です。
特徴的なのは、設計依頼時から施主の強い要望であった縁側をリビングから続くデッキバルコニーで実現し、座れるように段差をつくったことです。その段差が手摺の高さの圧迫感を抑えることができ、快適な縁側空間が実現しました。

梅原佑司

2階リビンク。天井は垂木構造として杉の垂木、野地板をあらわしにし、木の傘の下で暮らしているような、落ち着いた空間。

2階キッチンから縁側のあるバルコニーを望む。

軒の高さはできるだけ低くし、街並に対して圧迫感のないよう配置。外壁は黒い弾性アクリル樹脂系の塗り材をコテ押えとし、ヒノキの色とのコントラストが美しくなるようにした。

著者について

梅原佑司

梅原佑司うめばら・ゆうじ
建築家
1980年高知県生まれ。2004年堀部安嗣建築設計事務所入所。2006年株式会社アルボックス時田入社。2010年梅原佑司デザイン事務所(現:梅原佑司建築事務所)設立。2013年より学校法人龍馬学園国際デザイン・ビューティカレッジ非常勤講師。2015年第4回高知県建築文化賞優秀賞を受賞。幼い頃、何気ない日常の中で出会った風景や場面が今でも心に残っているように、“時を経てもずっと記憶に残っているような居心地の良い場所” をつくりたいと考えている。

連載について

この連載は、住まいづくりの最前線を伝えるコーナーです。設計事務所や工務店の建築事例をグラフィカルに紹介していきます。どんな住宅と出合えるだろう、そんなワクワクした気持ちで覗いてください。