我輩は歌丸である。
第13回
簡単には吐かないよ
僕の連載が始まってもう1年なんだってねぇ。時が経つのは早いねぇ。それより秋ってさぁ、過ごしやすくてボーっとするのに最高な季節よねぇ。
連載1年記念です。懺悔の意味も込めましてある事件についてお話させていただきたく存じます。
歌丸がまだ小さかった頃のお話です。ある晩、針山に1本だけ刺してあった針がない事に気が付きました。さっきまであったのに?歌丸がじゃれて抜いたのだろうと思いましたが、いくら探しても見つかりません。
まさか歌丸が飲み込んだ?当の本人はゴロゴロしながらご機嫌な様子。
そんなはずはない!と自分に言い聞かせても心拍数は上がるばかり。事が起こったのは日付けが変わる頃。深夜対応の獣医さんを必死に探し、大雨の中急いでタクシーに飛び乗りました。
無事到着し、先ずは打ったら吐いちゃう不思議なお注射作戦を決行。しかし歌丸は吐きません。静かに様子をうかがっているとブチュゥゥゥとしっかり閉じた口から吐瀉物がはみ出てきました。
先生は『こんな頑固な猫見たことないよ。普通すんなり吐くんだけどなぁ。』と言い出す始末。
溢れ出る吐瀉物に歌丸のプライドを感じ『 頑張れ!歌丸! 吐くんじゃないよぉ!』と応援しましたが、違う!今は針の行方が知りたいのだ!と我に帰ります。
お注射作戦は失敗に終わり続いてレントゲン作戦を決行。あっさり成功し、現像されたシートを目にすると!そこには美しい骨や内臓と共に映るお針様が‥‥。
頭の中が真っ白に!あんた!なんでケロッとしてるのよ!なんで吐かないのよ!てかこれって内臓に刺さってるんですかぁぁ!先生!助けてぇ!先生ぇぇ!!
パニックになった私は歌丸の『 針問題 』に向き合えず、ずっと気になっていた『 先生がおじさんかおばさんか判別できない問題 』で頭がいっぱいに!
お話はここから面白くなるわけでございますが、なんとなんとお時間でございます。どうなる歌丸ちゃんとポンコツ飼い主!それはまた別のお話。