我輩は歌丸である。

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結果オーライ

この1ヶ月僕がどうなったかみんな心配だったんじゃない?いいところでお話終わったもんねぇ。
あぁこの針。懐かしいねぇ。僕はさぁ。針に通った糸で遊んでただけなのよ。結局この事件はさぁ、飼い主のずさんな管理体制の結果だよねぇ。

猫と取り出された針

取り出された針と歌丸


淡々とお針様の行方を語りだした先生のおかげでポンコツ飼い主は我に帰りました。
現在4cmもある針は食道を難なく通過し、今も内臓内を目下驀進中だという事が判明!しかし腸はクネクネしているので刺さる危険性が増すとの事!
針を飲み込んだ猫のレントゲン

背骨に刺さって見える恐ろしいレントゲン写真


最善策は内視鏡手術で取り出す方法なのですが、ダメだった場合は全身麻酔で切開手術になると説明を受けました。これはかなり歌丸に負担がかかるそうで私の同意が必要となります。
とにかく歌丸を助けてください!と懇願し手術同意書にサインを済ませすぐに手術となりました。
私は一旦帰宅となりましたが眠れるわけもなく、ジャムを作るという奇行(普段絶対にやらない)に走りました。異常なテンションなので手元が狂い熱々の果肉を浴びるという惨事に!
針をずさんに扱った時から動き出した負のピタゴラ装置1はまだ動き続けている!と悟った時、先生から連絡がきました。
最悪の事態も覚悟しましたが、結果は内視鏡手術成功!あぁよかったぁぁ。緊張が切れヘナヘナと座り込んでしまいました。
翌日、朝一番でお迎えに行きました。とても心細かったのでしょう。歌丸は会うや否や抱きついてきました。薬品の独特な匂いがする歌丸をぎゅっと抱きしめ何度も何度も謝りました。
感動の再会を終え先生にご挨拶。手渡された請求書には10万円の文字が!何て現実的な金額でしょう!深夜手数料だけで数万円‥あぁ現実!負のピタゴラ装置、最後は10万円と書かれた旗がピッっと立ち‥大成功ですね!
ぬいぐるみで遊ぶ猫

退院後、いつもの調子を取り戻した歌丸


でもさ!僕が元気で何よりじゃない!ところで先生の謎は解けたの?
解けませんよ。謎のままでよろしい。次回は2018年最後のお話です。それはまた別のお話。

(1) NHKの番組「ピタゴラスイッチ」に登場するからくり装置。

著者について

永田花

永田花ながた・はな
文化学院建築科を卒業後、ステンドグラス作家の山本幸子氏(株式会社山本・堀アーキテクツ)の下で働きながら物つくりの基本を学ぶ。その後N設計室勤務。仕事をしながらクラブイベントの会場装飾・ポスターやフライヤーデザインを手がける。現在は写真を使ったオーダー雑貨のデザイン・制作を生業としている。
http://87utamaru.wix.com/tutti-cat

連載について

永田花さんの飼い猫歌丸くんの日常について綴るエッセイ。歌丸は猫っぽくない、と花さんから聞いて、それはどういうことだろう?ととても興味を持ちました。花さんと歌丸との出会いから、これまでのこと。ほっと一息つけるようなエピーソードにあふれています。