ちいきのたより

Vol.48  ひょうご住宅百選「静思館」
兵庫県川西市 グートンライフ

⾬に萌ゆる緑が美しい季節となりました。
今回は、地域の建物をご案内したいと思います。

訪れた⽇はあいにく曇り空で残念でしたが、「ひょうご住宅百選」「国の登録有形⽂化財」「兵庫県の景観形成重要建築物」に選ばれた、隣町の猪名川町⽴「静思館せいしかん」をご紹介します。

⽞関に⽴つと、ボランティアの案内⼈が最後まで同⾏してくださいました。

現在静思館と呼ばれている旧冨⽥家住宅は、東洋古美術商の冨⽥熊作⽒が出⾝地である猪名川町に、敷地⾯積2,505㎡(759 坪) 建物⾯積534.3㎡(162 坪)を有した⼤邸宅を、昭和7年から3年の歳⽉をかけて建築したものです。京都の棟梁、斎藤宗太郎が⼿掛け、総⼯費は当時の金額で約10万円 (当時の村の予算の2倍以上。現在の価値に直すと約10億円)とも⾔われているそうです。  
兵庫県の景観形成重要建築物に選ばれた静思館旧冨⽥家住宅

外国⼈を接待するという⽬的にそって、全てのものが計画的に設計された建築物であり、移築せずほぼ当時のものとして現存しているのは貴重ですね。
建材は、北⼭丸太、丹波松、尾州檜びしゅうひのき、唐⽊などあらゆる銘⽊が使われているそうです。

⼀⾒、江⼾時代からの⺠家の様式を⽤いているように⾒えますが、きわめて近代的な要素を併せ持つ⾯⽩い住宅なので、順を追ってご紹介させていただきます。

書斎蔵のもみ殻や炭⽕などを使った床暖房

書斎蔵しょさいぐら

外壁は漆喰塗。床下暖房が設置されています。畳下に鉄板を敷き、その下に地下室(⽕床)を設け、もみ殻や炭⽕などを利⽤して暖めたそうです。敷鴨居などには⽩檀びゃくだんが使われ、暖房時には芳⾹が漂ったそうです。
氷室

氷室ひむろ

現在の冷蔵庫に当たるもの。奥⾏20m、左右に3ヶ所ずつ分かれています。戦時中は防空壕としても使われたそうです。
茶室

茶室ちゃしつ

主屋の南東に位置し、4畳半に⽔屋が付いており、⼟間には海外からのお客様⽤に⽴礼席が設けられています。
⼩屋組がトラス構造の茅葺屋根

主屋しゅおく

茅葺屋根、⽊造平屋建という純和⾵建築の外⾒ながら、⼩屋組はトラス(主に鉄筋構造に使⽤)構造になっています。

昔の水洗便所

給水塔きゅうすいとう

櫓の上に貯水槽を設置し、井戸水をポンプで汲み上げ、落差で主屋などの水道管に水を送っていました。当時珍しかった水洗トイレにも使用されたそうです。

屋内の写真です。


⼿前のかまどの蓋は、⼀⼈では重くて持てないほどの⼤きいものです。
かまどの煤で真っ黒に燻された天井天井の燻し

裏⼭のてっぺんに、散策道ができていて展望⼩屋に続いています。折角なので登ってみました。
以前は、ここでお茶会もされていたそうです。


この建物は、移築もされず⽕災にも合わずこの場所に今も現存しています。戦時は、天皇家のご家族も疎開されたそうです。

⽥舎では珍しく、洋⾵の近代建物として採⽤された部分がたくさんあります。仕事柄、貿易商で外国の⽅を多くおもてなしされたことがうかがわれますね。
兵庫県の景観形成重要建築物静思館
たまたま昔からこの地に住んでおられたお爺さんと出会い、昔は、祭りだというとこの家に集まり、⼦供も⼤⼈も賑やかに楽しまれたとか。懐かしそうに話してくださいました。

グートンライフの本社から車で10分くらいですが、前を通ったことはあっても、意外に館内は知らない人が多いのが残念です。
「静思館」という名称は、深い緑と清々しい空気に恵まれた自然環境のなかで、来館者に憩いと静思の場を提供する建物であることから名付けられました。
興味のある方は、ご案内させていただきます。私は大好きな建物のひとつです。

出口まさみ
ちいきの記者
出口まさみでぐち・まさみ
和歌山県、湯浅醤油発祥の地出身。
総務・経理の仕事を経て、現在は広報とコミュニティ等の仕事を担当し、主にお客様の顧客管理や地域交流のイベント企画などで忙しい毎日です。
小さい頃は山を駆け巡り、海では魚釣りをして楽しんでいました。出逢いを大切に、笑顔が見える住まいづくりのお手伝いをさせていただけたら嬉しく思います。

 

兵庫県川西市 グートンライフ施工事例
(株)グートンライフぐーとんらいふ
兵庫県川西市緑台1-3-3
TEL:072-793-1855
URL:http://www.good-on.co.jp
『家づくりは、暮らしづくり』
グートンライフの会社名の由来は「Good on Life」から来ています。
いろいろご提案する中で、より良い暮らしを提供することは、より良い家づくりをすること。永く住み繋げる家づくりこそが、私達の使命であるということに辿りつきました。
健康・安全・環境エネルギー等を総合的に考えた時、どの場面でも妥協を許さず、各プロフェッショナルとの密な連係プレーがあるからこそ技術の向上にも繋がります。私たちは地域にとって必要とされる工務店をめざし、新築・リフォーム・不動産の「地域工務店」としての使命を感じています。

ちいきのびお参加工務店さん全国図

ちいきのびお