ちいきのたより

Vol.50  杉本博司「江之浦測候所」から小田原の魅力を知る
神奈川県小田原市 瀬戸建設

私の地元小田原に、国内外から注目を浴びている場所があります。

東海道線唯一の無人駅「根府川駅」を通り過ぎ、ミカン畑に囲まれたくねくねした山道をのぼった先にあるのが話題の「江之浦測候所えのうらそっこうじょ」です。

この小田原の地に、日本を代表する写真家であり現代美術作家である杉本博司ひろしが「構想10年、建築10年」の歳月をかけて完成させたのは2017年10月。
 
たちまち話題となり、今となっては、休日平日問わず人が集まるスポットとなっています。

杉本博司設計小田原文化財団 江之浦測候所全体図

江之浦測候所全体像


私が訪れたのは雨がシトシト降るある日の午後。

この施設は、相模湾に面した9,496m2もの大規模な傾斜地のミカン畑を開拓しました。
美術品鑑賞の為にギャラリー棟、石舞台、光学硝子舞台、茶室、庭園、門、待合棟などで構成されています。



観測所とは何をするところなのでしょうか…

杉本博司はこの建物を「自然、そして、天空を展望する場所であり“世界や宇宙と自分との距離を測る場”」と定義づけました。

江之浦測候所のガラス張りの待合棟には樹齢1000年を超える屋久杉のテーブルがある

待合棟


それを読み取ることがなんとなく出来るのが、この施設のシンボルになっている「夏至光遥拝げしこうようはい100メートルギャラリー」。

こちらは海抜100メートルの地点に立ち、100メートルの構造壁には大谷石に覆われ、対面のガラス窓は柱の支え無しにガラス板が37枚自立しています。

屋根は軽量化を図った片持ちの屋根でギャラリー先端部の12メートルは海に向かって持ち出しになっています。

展望台


先端部分の展望スペースには、「自然、そして、天空を展望する場所」「世界や宇宙と自分との距離を測る場」という、杉本博司の作りたかった空間を感じとれる場所になっています。

江之浦測候所の光学硝子舞台

光学硝子舞台


すべての作品を観るには最低でも1時間半。この壮大な空間は美術館というより、敷地全体を文化芸術でまとめ上げたランドスケープ。

杉本博司は、小田原を選んだ理由として

「私は小田原に負うところが多い。子供の頃、旧東海道線を走る湘南電車から見た海景が、私の人としての最初の記憶だからだ。熱海から小田原へ向かう列車が眼鏡トンネルを抜けると、目の醒めるような鋭利な水平線を持って、大海原が広がっていた。その時私は気がついたのだ、「私がいる」ということを。」

と語ります。

冬至光遥拝隧道冬至光遥拝隧道とうじこうようはいずいどう

天正十八年、秀吉による小田原落城の後、居城の場所として小田原を最有力候補にあげながら江戸を選んだ徳川家。もし小田原が選ばれていたら…。この美しい自然も大都会と化し、杉本博司の脳裏に残るこの風景を見ることが出来なかった。もちろん私達も…。
今私たちの目の前にある当たり前のこの風景に感謝したい気持ちになりました。

是非小田原にいらっしゃった際はお立ち寄りください。

江之浦測候所の駐車場からの眺め

駐車場からの眺め


剱持美和と石塚裟智
ちいきの記者
剱持美和けんもつ・みわ 
石塚裟智いしづか・さとみ
この神奈川県西地区で生まれ、育った2人。建設業界で設計士、営業マンとして日々奮闘しております。お仕事の息抜きは美味しいご飯と美味しいお酒。たまーに、トレーニングジムとバッティングセンターで汗を流してリフレッシュする事。自分たちも楽しみながら地元小田原の良さを発信できるように頑張ります!

 

神奈川県小田原市瀬戸建設施工事例
瀬戸建設(株)せとけんせつ
神奈川県小田原市久野2267
TEL:0465-34-7711
URL:https://www.setoken.co.jp
私たちは自然との融合や、街並み景観にも配慮した建築設計を心掛け、それを実現することが大切であると考えています。住宅は自然素材やエコ技術を用いる事によって、「五感」に訴える魅力・心地良さから、住み手が愛着を持って長く大切に住むことで、より家に磨きがかかっていくもの。弊社は、これからも光・風・音・素材の肌触り・経年美などを感じ、楽しんでいただけるような住まいづくりを追求して参ります。

ちいきのびお参加工務店さん全国図

ちいきのびお