ヨリドコロえんがわ

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手間を楽しむ

ヨリドコロえんがわの入り口ではくまもんがお出迎え

築100年以上経つ民家をリノベーションした「ヨリドコロえんがわ

木製の古い玄関をくぐると、沢山の作品たちがお出迎えしてくれます。

丁寧に手縫いされた刺し子のコースターやがま口財布。
赤ちゃん用の可愛らしいスタイや、パーツを編みこんで作るアクセサリー。
一刺し一刺し、針で刺して、飼い犬そっくりに作る羊毛フェルト作品など、
それぞれの作家さんの想いが詰まったものばかりです。
雑貨がひしめき合うヨリドコロえんがわの店内

犬と猫のハンドメイドフェルト作品

大切なペットそっくりな羊毛フェルトのブローチは、愛犬家の方々に大人気。


一般的には、作家作品を扱うショップは、委託販売や買取にて販売されることがほとんどでしょうが、ヨリドコロえんがわの場合は、作家さん達には交代で、お店のスタッフとしてお手伝いして頂いています。

作家さんがお店に立つことにより、作り手と買い手が直接つながり、安心感だけでなく、お互いの人柄についても知ることができると思っているからです。

また、作家同士の交流にもなり、「こんな新作ができたけど、どう?」と作品を見てもらったり、作家ならではの悩みなどを相談したりと、私も良い刺激を頂いています。
お客様の中には、会いたい作家さんが居る日に合わせて来られる方や、「今日は誰がおるね~?」とほぼ毎日来てくれる近所の方などと会話を楽しんだり、お店ですが、誰でも気軽に集まれる集会所のような場所でもあります。

まさにヨリドコロです。

ミモザの花

はじめてご来店のお客様も、作家さん達と楽しく会話されています。


シニアカーで談笑

常連のおばあちゃんはヨリドコロえんがわの人気者。


最近ではネットでも気軽に作家作品を買うことができますが、やはり顔と顔を合わせて「あなたが作ったものが買いたい」とお客様に求められれば、作り手は、そのお客様の喜ぶ顔を思い浮かべながら、より一層、心をこめて製作し、結果、良品や仕事のやりがい、楽しさにも繋がると思っています。

逆に、買い手の立ち場に立ったときも、信頼できる方が作った作品なら、使いながら作り手の顔が浮かび、愛着も増すことでしょう。

私も普段は建築で出た端材を使って木工をしていますが、やはりオーダーを頂くと嬉しいですし、プレッシャーもありますが、やりがいも大きいものです。
制作中は「手間を楽しむ」余裕はなく、どちらかと言うと「緊張」ですが、、、笑
無事に作り終えた後は、「あ~、楽しかった」と達成感を感じています。
毎回、その繰り返しですが、これも、やはり想うお客様がいてのことですので、本当に感謝しています。

ヨリドコロえんがわでは、作家の手仕事を体験できるワークショップや、集まった方々と一緒にモノづくりを楽しむ時間も設けています。
料理、編み物、木工、刺繍、絵画など、初めての方でも楽しめるような内容です。

曲げわっぱ

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著者について

森川瞳

森川瞳もりかわ・ひとみ
熊本県熊本市出身。
5人兄弟の末っ子で、小さい頃の遊びは、兄達と虫探しや自然遊びをすることばかり。10代後半に犬小屋を建てたことがきっかけで、木工をはじめる。
23歳のとき、本物の家具職人の仕事を見るため一年間、飛騨高山へ。
そこで体験した出来事や出会った方々が刺激となり、木材だけでなく、森への関心を生む。
熊本へ戻り、「木や森のことを伝えること」を目的とした木工教室をはじめる。その後、教室がきっかけでミズタホームに入社。
現在は「樹子工房」という名前で家具小物の製作や、木工教室、広報、企画、ショップの管理などを担当している。

連載について

熊本甲佐町にあるその店は、日々「何かしたい」と「何か感じたい」の気持ちに溢れる人達が寄り集まる場所となっています。 ある日は一日カフェ店長として、ある日はフラリ訪れてみたお客として、またある日は駆られた衝動で作り上げたモノを売る創作家として…。 "作る喜び" と "生きる喜び" が緩やかに漂うレンタルカフェ&スペース「ヨリドコロえんがわ」より、工務店女子兼店長である森川瞳さんが、日々の体験や思ったことを綴ってくれます。