ヨリドコロえんがわ

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家具、小物づくり

ヨリドコロえんがわの入り口ではくまもんがお出迎え
ミズタホームの資材置き場の一角に、小さな木工房「KICO」があります。

建築で出た杉材などを使って建てられた、まさに木箱のような小屋です。小屋は2部屋あり、入って左側が作業部屋。
右側が打ち合わせをしたり、材料などを保管しておく部屋として利用しています。
樹子工房

樹子工房

KICOは漢字で「樹子」と書き、小さなころから木に触れてほしいという願いを込めて名付けられました。
建築で使う杉の木を使って、オリジナル家具やリメイク家具、小物などを制作しています。

kico看板

端材で作ったKICO看板

木のトイレットペーパーホルダー

木のトイレットペーパーホルダー


木の家具といえば、ナラやタモなどの木材が一般的に利用されているかと思いますが、KICOでは主に杉やヒノキなどを使っています。
KICOが始まる以前の私は、「家具といえば堅木でないとダメだ」と思っていたり、珍しい海外の木材などを集めることが趣味でした。
一時期は、木が好きで好きで動悸がしたり、小さな木くずも捨てられないほどでした(笑)

木屑
木くずコレクション
もちろん、今も木は好きですし、様々な木材をみると、「あ~面白いなぁ」とワクワクします。

ただ、その頃は、遠くのものばかり見ていて、近くにある杉やヒノキのことは見えていなかったように思います。

しかし、木を集めたり、木工をしたりしているうちに、様々な出会いもあり、気が付けば、自然と世界の木材から日本の木材、日本の森への関心へと導かれていました。

そして、日本の森の現状を伝えながらモノづくりを楽しむ木工教室を、小学校やイベントなどさせて頂くようになりました。(今では恐れ多くてできませんが。笑)
木工教室

小学校での木育木工教室

それがご縁で、入社することになったミズタホーム。社長の水田から「杉の木が一番、日本人には合っているよ」とか、「木の質感を残すために塗装はしないほうがいい」「節がチャームポイント」など、今までの価値観を覆すような話や、杉や木の飾らない魅力を教わり、ますます杉の木が好きになっていきました。

今では、「すっぴん家具」という名の、それこそ無塗装の商品も制作しています。せめてクリアオイル塗装くらいは・・・と思ってしまいそうですが、杉の木にクリアオイルを塗ってしまうと、それだけでも、雰囲気は大きく変わってしまいます。ナチュラル感や素朴さを出したい作品には、「すっぴん」をお勧めしています。日に焼けて表面が飴色に変化することも一つの楽しみです。
木製食器棚
すっぴん家具の食器棚
木の棚

杉の本棚

DIYをされる人が増えている時代。
日本の木を好んで使い、木工を楽しむ方が増えればいいなと思います。

最近では、木と和紙の融合した作品を制作しています。
和紙もまた、楮という木からできています。
木の世界は深く、面白いですね。
kicocraft木と和紙

和紙の照明

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著者について

森川瞳

森川瞳もりかわ・ひとみ
熊本県熊本市出身。
5人兄弟の末っ子で、小さい頃の遊びは、兄達と虫探しや自然遊びをすることばかり。10代後半に犬小屋を建てたことがきっかけで、木工をはじめる。
23歳のとき、本物の家具職人の仕事を見るため一年間、飛騨高山へ。
そこで体験した出来事や出会った方々が刺激となり、木材だけでなく、森への関心を生む。
熊本へ戻り、「木や森のことを伝えること」を目的とした木工教室をはじめる。その後、教室がきっかけでミズタホームに入社。
現在は「樹子工房」という名前で家具小物の製作や、木工教室、広報、企画、ショップの管理などを担当している。

連載について

熊本甲佐町にあるその店は、日々「何かしたい」と「何か感じたい」の気持ちに溢れる人達が寄り集まる場所となっています。 ある日は一日カフェ店長として、ある日はフラリ訪れてみたお客として、またある日は駆られた衝動で作り上げたモノを売る創作家として…。 "作る喜び" と "生きる喜び" が緩やかに漂うレンタルカフェ&スペース「ヨリドコロえんがわ」より、工務店女子兼店長である森川瞳さんが、日々の体験や思ったことを綴ってくれます。