ちいきのたより

Vol.129  緑でつなぐまちの未来 
新潟県糸魚川市 カネタ建設

眼下に広がる⽇本海、背には北アルプスの⼭脈を抱える新潟県⽷⿂川市は、豊富なミネラル成分を含んだ⼭の⽔が海に直結する急峻な地形。まさに海⼭の幸の宝庫です。
空から見た糸魚川市
総⾯積の約87%が森林で、その⼤きさは東京 23区をすっぽりと包み込むほどの⼤きさ。なんと市⺠⼀⼈あたりでは甲⼦園球場並みの広さの森を占有できる計算になります。
木が茂った森
しかし、建築に使⽤される⽊材の多くが安い輸⼊材に押され、地元の⽊が活⽤されないままお⾦がどんどん外へ流失している現実があります。⼭の管理が滞ると⼟砂災害や病⾍害につながり、果ては海産物の漁獲量にも悪影響を及ぼします。地域の抱える⼤きな課題でした。

「地元資源の恵みを地元で活かし、経済が循環する持続可能なまちをつくりたい」

そんな思いから、昨年6⽉、地元商⼯会議所で準備を進めてきた私たちの呼びかけで、「緑でつなぐ未来創造会議」という団体が⽴ち上がりました。

テレビ取材

県産材を盛り上げる私たちの活動が地元のテレビ番組でも紹介されました。

⽷⿂川市は⼈⼝4万⼈ほどの⼩さなまちですが、林業、製材業、集成材の接着加⼯業、家具・建具屋さん、⼯務店、造園業、バイオマス燃料であるペレット製造⼯場など、森林資源に関わる川上から川下までのあらゆる産業が共存しています。




今回の呼びかけには、多くの業界の仲間たちに加え、地元の飲⾷店など異業種の⽅々や⽷⿂川市、新潟県の職員のみなさんなどが共感し集結してくれました。まさにチーム⽷⿂川です。私たちの夢、やりたいことはたくさんあります。

まずは、地元住⺠⼀⼈ひとりが森林資源の⼤切さに共感し、地元の⽊を積極的に使っていこうというムードを育むこと。そのために、森を活かした⽷⿂川のまちの未来予想図を⽰すビジョンマップづくりに取り掛かりました。



糸魚川ビジョンマップミーティングの様子2020.10.23

糸魚川ビジョンマップミーティング集合写真
⽷⿂川の森林資源活⽤を考えるビジョンマップミーティング

また、強度が弱点とされてきた地元の杉ですが、住宅や公共施設にも安⼼して使えるよう、異なる部位を重ね合わせることで補強した構造材の研究や、これまで美しくないと敬遠されてきた杉特有の⿊芯(⿊ずみ)などをあえてデザインとして⽣かして商品化するなど、様々な挑戦を始めています。

重ね梁 kinoie
(左)杉の弱点である強度を補いつつ、無垢材のような美しさを両⽴した「重ね梁」の研究
(右)カネタ建設の住宅ブランド「kinoie」は地元の杉を内外装にふんだんに使⽤

そして、間伐エリアにバギーバイクやスノーモービルを⾛らせるアクティビティをはじめ、⼦どもたちが地元の森林に愛着をもつための様々な教育プログラム開発も視野に⼊れています。

森のラウンジの様子

都市公園を活⽤し⾃然資源に親しむイベントも地元他団体の⼿で開催。


世界の常識が⼀変した 2020年。働き⽅、⼈とのふれあいなど、多くの「当たり前」が当たり前ではなくなり、私たちの価値観に様々な変化が訪れた⼀年。それにより、今⼀度⾃分たちの暮らしのあり⽅を⾒つめ直し、都市部から⾃然豊かな地⽅への移住を考える⼈たちが増えています。今年 2021年はそんな動きが加速する⼀年になりそうです。
木登りする子供 縁側で一休み

森と海に囲まれたダイナミックな地域資源を持ちながら、顔の⾒えるコンパクトなコミュニティ、誰もが主役になれるまち⽷⿂川。東京駅からは北陸新幹線で約 2時間、このまちは今、移住や多拠点居住地としても注⽬されつつあります。

カネタ建設猪又直登
ちいきの記者
猪又直登 いのまた・なおと
新潟県糸魚川市生まれ。
大手玩具メーカーでキャラクター版権を扱う仕事から家業の建設業へ異色の転身で現在社長。
学生時代は70年代ロック・R&Bをこよなく愛するバンドマン。
現在は出張先でディープな居酒屋めぐりが趣味。検索キーワードは「地名」+「吉田類」。オーセンティックバー&スコッチも大好き。

 

新潟県糸魚川市中央2-4-2カネタ建設施工事例
(株)カネタ建設かねたけんせつ
新潟県糸魚川市中央2-4-2
TEL:025-552-0456
URL: https://www.kaneta.co.jp
    https://www.kinoie-niigata.com

「オンリーワンの住まいづくり」
創業昭和8年。85年以上の歴史をもつ新潟県糸魚川市の老舗ビルダー。「小さな邸宅 キノイエ」をはじめ、個性的な住まいを数多く設計施工。現在は、建築・土木はもとより、不動産、介護から機能訓練まで住生活をフルサポートするワンストップ企業を目指してサービスを展開中。

ちいきのびお参加工務店さん全国図

ちいきのびお