我輩は歌丸である。
第47回
暴れ蝉争奪戦
今年の夏も暑い日が続き夏バテ気味でうだうだする時期ですが、夏に華咲く蝉たちの命が散っていく時期でもあります。
ある日突然ビビビッと気味の悪い音がしました。テレビかな?と思いましたが、なんとなく嫌な予感が・・・。
ふと足元を見ると歌丸が得意げに蝉をくわえています。歌丸が蝉を捕まえた!???
事務所猫時代に所長から与えられた死に際の蝉としか対峙した事がないはずです!
逃げようと必死に暴れまわる蝉に大興奮の歌丸。
得体の知れない毛むくじゃらに襲われている蝉。
狩りをしてきた歌丸を褒めなければ!でもなぶり殺されそうな蝉を守らねば!と葛藤する私。
三者三様の極限状態です。
まずは『蝉取ったのー!えらいねー!かっこいいねー!見せてくれてありがとうねー!』と三唱し、ご満悦の歌丸を尻目に蝉をサッと奪います。
しかし手のひらで暴れるので思わずぶん投げてしまう私。放り出された蝉を再び襲う歌丸。これを何度か繰り返しやっとの事でベランダへ避難させました。言わずもがな瀕死状態の蝉ちゃん。せめて木のぬくもりが感じられる状態で逝っていただければと思い、パキラの幹へ止まらせました。
この状況にどうしても納得のいかない歌丸は網戸越しから狙い続けます。自分の獲物を奪われた歌丸は激しくネチネチと抗議してきました。
これ僕の獲物だよね。僕が狩ってきたのよ。なんで奪われたの?ねぇ!なんでよ!僕の蝉ちゃんでしょう!?
あまりにしつこいので受け流しながら、蝉に『もう大丈夫だよ、ゆっくりお逝きなさい。』と語りかけたその瞬間、最後の力を振り絞ったのか蝉は暴れ出し地面でのたうち回り始めました。
それを見た歌丸は大興奮で網戸にしがみつきます!もう勝手にしてくれ!と私はキンキンに冷えたアイスコーヒーを飲むのでした。
数日後、味をしめた歌丸は何匹も蝉を連れて来ました。はぁ。疲れる。来月はまた別のお話。