おひさまと二十四節気

Vol.8  小満・夏服に切り替える

学生さんたちもそろそろ夏服ですね。
今日はアイスを食べるちびっこを見かけました。
(画・祖父江ヒロコ)

だんだん夏を感じるような日が増えて来ました。

小満は「万物盈満(えいまん)すれば草木枝葉繁る」とされ、少し前まで芽吹いたばかりの草木が、すっかり繁ってくる頃です。

祖父江さんには、爽やかな夏服を描いていただきました。

今までは冬のしつらえだったものを、夏のものに切り替えていくのが「衣替え」です。

人体は、いつも熱を産生しています。
夏でも冬でも、です。

冬は、自分の体から出ていく熱を少しでも減らすために、できるだけ肌の露出を抑え、厚手の服装を選びます。

夏は、逆に熱を積極的に放出したいので、肌の露出が多く、薄手の衣服が選ばれます。

「暑い」とか「寒い」というのは、この「自分の体からの熱の逃げ」の速度によって起こります。

たくさん熱が逃げ過ぎれば「寒い」
熱が十分出しきれずにいれば「暑い」

つまり、体からの熱の移動が少なければ「快適」というわけです。

よく、気温25℃・相対湿度50%が快適だ、と言われます。
建築で室内環境を整えるとき、ある範囲内に収めるための断熱・気密や日射取得といった、建物の熱の出入りを考える必要があります。
それだけでは一定の温度・湿度を保つことはできませんから、空調で目標温度に保つ、ということが行われます。

でも、その環境の中でじっとしている人もいれば、アクティブに動き回っている人がいる、と考えたらどうでしょう?

あるいは、目覚めたばかりの朝と、夜、これから寝るぞ、という時だったらどうでしょう?

当然ながら、いつも25℃50%が快適、というわけではないはずです。

建築である程度の環境を整えた上で、少し暑い、少し寒い、という時に、最終的な環境を整えるのは、制御された空調装置ではなく、住まい手自身であるべきではないでしょうか。

窓を開けたり、扇風機をつけたり、もちろんエアコンを使うこともあるでしょう。

薄着になったり、服を一枚羽織ったり、ということも、快適さを大きく左右します。

大切なのは、「○○℃に設定した」ことで完了、ではなくて、自分にとって今、どういう状態が心地よいのかを感じ、行動することです。

自身の「快適」は自分で作ろう!
そんな暮らしが、きっと楽しいよ。