おひさまと二十四節気
Vol.9 芒種・梅仕事
二十四節気は芒種、稲などの穂が出る植物を蒔く頃、とされています。
一方で、祖父江さんの絵にもあるように、ちょうど梅の実が出回ってくる頃でもありますね。
梅は2月ごろ開花します。
植物としては、万葉集で二番目に多く詠まれているそうですから、古くから日本で親しまれてきたんですね。
(一番は、桜…ではなくて、萩です)
開花したあとの積算温度で、身の出来具合が変わってくると言われています。
積算温度とは、毎日の平均気温を合計したものです。
梅は6月になったら勝手に実を落とすのではなく、開花したあとの気温の上昇を少しずつためこんで、文字通り結実しているんですね。
(蕾から花も、やはり積算温度で開花予想ができるようです)
だから、天候が悪い年なら実ができるのも遅くなるし、もっと言えば花が咲くのも遅くなります。
6月に採れるものの収穫が、4ヶ月も前からの気温で決まるだなんて、忙しい現代生活からするとなんだかずいぶんゆっくりな話に聞こえますが、それこそが生命の神秘であり、だからこそ、季節のものとして梅の実が出回り始めた時に、私たちは季節を感じることができるのでしょう。
梅をはじめとする植物は、みな太陽からの日差しを光合成して自分のエネルギーとしています。それだけでなく、太陽の働きでだんだん上がっていく気温で、梅の実が出来上がるんですから、梅の実は太陽の恵みと言っても過言ではない!
(なぜか、太陽というとオレンジとか、柑橘類のイメージですけどね)
かくいう僕の家には、今のところ梅の木はないので、他所でとれた梅ではありますが、毎年梅干しをつけています。
梅シロップや梅酒だったら、今ぐらいに出回っている青梅がいいんだけれど、梅干しには黄色くなった完熟梅がいい。
そんなわけで、完熟梅が出回るのを待っていたら、先週の豪雨で結構梅が落ちてしまったようで…。いい梅が手に入るか少々心配しています。
梅さえ手に入れば、梅仕事はそんなに大変じゃありませんし、市販品とは全く違った味わいが楽しめますから、祖父江さんも、そして未挑戦の読者の皆さんも、是非!