立春
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りっしゅん
春になります。日脚が伸び、梅が咲き始めます。立春は雑節という日本が独自に持つ農事暦の起算日であり、八十八夜や二百十日はこの立春から数えています。禅寺などでは門に立春大吉と墨書した紙を貼り、その文字は線対称で吉祥。とはいえ、言葉のうえでは春でもまだまだ寒いです。本来は冬の言葉ですけれど、三寒四温といわれるような一進一退の日々です。
- 立春の米こぼれをり葛西橋
- 石田波郷
魚上氷
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うおこおりをいずる
魚が氷の割れ目からおどり出る。七十二候は俳句ではあまり使われませんが、これは氷を「ひ」、上を「のぼる」と読んで「魚氷に上る」としてオモシロ季語として使われます。しかし、さすがにそんな命知らずで浮かれた魚はいないですよね。浮かれた、と言えばこの時季はバレンタインデー。昔は女の子が男の子に義理チョコを配る行事でしたが、今は自分チョコや友チョコが多いようです。
- 山陰や魚氷に上る風のいろ
- 原裕