立秋
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りっしゅう
秋になる。立秋を過ぎてからは残暑見舞いを出します。「まだまだ暑いから秋には早い」という声もありますが実際には夏の陰りを感じ始めます。そんな僅かな気温低下を見つけて立秋と決めた古代人の感覚は鋭いですね。俳人の島田牙城はこのような兆しを季節の始まりとする感覚と、西洋ならではのピークを季節とする感覚の違いを「欧州型狩猟民族の「Season」と、極東型農耕民族の「季節」の違ひ」と呼んで説明しました。おもしろいですね。
- 今朝の秋野への轍の深きこと
- 中島月笠
涼風至
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すずかぜいたる
秋風が吹く。涼風というと夏の季語だが、これは立秋の初候なので秋風、なかでも秋の初風と呼ばれるものだろう。「秋来ぬと目にはさやかに見えねども風のおとにぞおどろかれぬる」と藤原敏行が詠った秋を告げる風だ。確かに八月中旬はまだ暑いのですが、風は微かに涼を感じます。本格的に涼風を感じるときではなく、涼風を感じはじめたときを「至る」と呼べるのは、季節の兆しが見えたら農耕にとりかかる日本人の性質が現れていますね。
- 秋風やカーブミラーに蔵の町
- 村上鞆彦