森里海の色
柿木村の一輪挿し
「ノアザミ」
日中はまだまだ残暑が厳しい辺境も立秋の声を聴き、朝夕は野山を渡る風が幾分涼しくなったような気がする。
花の少ない時節、田んぼの土手にノアザミが一輪、風に揺れていた。
紫の色は静かな孤高の大人の女性を思わせる。
美しい花には棘があるという言い回しはいつの時代からなのだろう。
中島みゆきの唄う「あざみ嬢のララバイ」に登場する
それほど幸せな人生を歩んできた訳でもなく、自分を夜咲く花だと形容し
それでもすべてを受け入れ他者を優しく包み込む度量の大きさを感じてしまう。
夏の宵、少年の陽水は風に吹かれた花を風あざみと詠んだのだろうか。