立秋
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りっしゅう
秋になる。立秋を過ぎてからは残暑見舞いを出します。「まだまだ暑いから秋には早い」という声もありますが実際には夏の陰りを感じ始めます。そんな僅かな気温低下を見つけて立秋と決めた古代人の感覚は鋭いですね。俳人の島田牙城はこのような兆しを季節の始まりとする感覚と、西洋ならではのピークを季節とする感覚の違いを「欧州型狩猟民族の「Season」と、極東型農耕民族の「季節」の違ひ」と呼んで説明しました。おもしろいですね。
- 今朝の秋野への轍の深きこと
- 中島月笠
寒蝉鳴
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ひぐらしなく
つくつく法師が鳴く。寒蝉の読み方は「ひぐらし」ですが、寒蝉とはつくつく法師のこと。ひぐらしは夏の夕方に鳴くので秋めく感じはありますが、秋の訪れを告げるのはつくつく法師です。このころはお盆にあたり、祖先の霊を迎えるべく門火を焚いたり精霊馬を出したりする家もあります。京都五山送り火もこのころです。同時に終戦記念日にもあたります。気温が下がってから鳴くこのつくつく法師の悲し気な声に、祖先や戦死者への追悼の気持ちがたかまりますね。
- カンバスの余白八月十五日
- 神野紗希