森里海の色
柿木村の一輪挿し
「ミント」

ミント みんと 薄荷

ガルテン畑や家の周りに爽やかな匂いが漂っている。
何種類かのハーブを植えていて季節ごとの香りが楽しめる。
ミントは放っていても繁殖力の強い植物だ。
籠いっぱいに摘み取り、ミントの葉を指で擦って鼻にかざすと清涼感たっぷりの一陣の風が吹き抜けてゆくようだ。

暑い時期の今はホワイトラムの中にミントをたっぷり入れて作るモヒートが美味しい。
冷えた炭酸水を注ぎ入れフレッシュなライムを沈めると泡のグラスの向こうを貨物船が通り過ぎるのだ。ユーミンの歌みたいに。

お盆になると遠くに住む家族が三々五々帰省してくる。
ちょうど一同が集まった日になにがしかの宴を開く。
果たしてこの光景がいつまで続くのかと少しセンチになったりするけど、
お酒の勢いがすぐにそのつまらない想いをかき消した。

著者について

田村浩一

田村浩一たむら・ひろかず
建築
1954年生まれ。株式会社リンケン代表取締役。中国山脈の辺境の地で、美しい森や川や棚田に囲まれながら木と建築の仕事を展開。山野辺の四季の移ろいを感じながら、酒を愛し、野の花を愛で、暮らしに寄り添う棲家とは何かを考えながら生活している。一輪挿しはライフワークのひとつ。