処暑
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しょしょ
暑さが止む。とはいえ、まだまだ暑い日が続きます。雑節の二百十日は台風や強風が多い厄日とされ、富山市のおわら風の盆など風鎮めの祭が各地で催されます。稲作にとっても出穂期で風に気を配る季節なのでしょう。宮沢賢治の「風の又三郎」にも「二百十日で来たのだな」という科白があるように処暑は不穏な風の季節です。さて今年はどんな風が吹き荒れるでしょう。
- 二百十日塀きれぎれに蔦の骨
- 横光利一
禾乃登
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こくものすなわちみのる
粟や黍が熟す。禾は粟の穂が垂れ下がった状態を指します。エノコログサの近種である粟は華北では西域から来た麦以上に主食として育てられました。日本でも米以外に粟を五穀のひとつとして新嘗祭に用いてきました。そして「登」は登熟のように熟すことを指します。今では米の座を稲へ明け渡した粟ですが、粥にしたり酒にしたりお菓子にしたりしてまだ食べられています。雑穀を見直すにはいい時期ですね。
- 氾濫の黄河の民の粟しづむ
- 長谷川素逝