穀雨
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こくう
春雨が降り、種籾を潤して芽を出させるころです。穀雨の終わりごろが八十八夜で、茶摘みどき。桜も蕊をすっかり落とし、鮮やかな葉桜を見せてくれるでしょう。そして山吹の花や花水木、そして木瓜の花などが野山を彩ります。その花を求めて蜂が飛び交うようになります。だんだん気候が安定してくると春が行ってしまう寂しさのなかで、夏の訪れを感じるように。風が薫りだします。
- 行く春に一匹白猫添いにけり
- 阿部完市
牡丹華
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ぼたんはなさく
牡丹の花が咲く。花札をやる方はご存知のように牡丹は六月です。旧暦なのでだいたい五月のあたりですね。和歌や連歌の世界では春の花として扱われることもありますが、華やかさは初夏にぴったりだと思います。もともと中国原産の花ですが、平安時代には日本でも栽培されていました。冬牡丹という、牡丹の咲く時期を手間暇かけて調整したものなど園芸種として親しまれています。
- 白牡丹顕れて留め金なき世界
- 田中亜美