穀雨
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こくう
春雨が降り、種籾を潤して芽を出させるころです。穀雨の終わりごろが八十八夜で、茶摘みどき。桜も蕊をすっかり落とし、鮮やかな葉桜を見せてくれるでしょう。そして山吹の花や花水木、そして木瓜の花などが野山を彩ります。その花を求めて蜂が飛び交うようになります。だんだん気候が安定してくると春が行ってしまう寂しさのなかで、夏の訪れを感じるように。風が薫りだします。
- 行く春に一匹白猫添いにけり
- 阿部完市
霜止出苗
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しもやんでなえいずる
霜が終わり稲の苗が育つ。もう夏になろうとしているのに晴天のため夜間の放射冷却が激しく霜の降りることがあります。これを晩霜や別れ霜と呼びます。茶畑ではその害が大きいため、日本一の茶の生産量を誇る静岡県の地方気象台では伊豆地方以外の県内で遅霜予報を出します。五月も中旬になれば霜は止みます。またこのころ苗代と呼ばれる田に稲の種を蒔き、苗が出るのを待ちます。春が深まります。
- 鉛筆の短躯たまれり別れ霜
- 秋元不死男