小雪
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しょうせつ
雪の降り始めるころ。風花といって晴天に雪がちらつくこともあり、静岡県や群馬県など空っ風の吹く地域では冬の風物詩として知られています。本格的な冬に備えて家を覆う雪囲を設けたり、支柱を立てて縄や針金などを八方に張り庭木の枝を吊る雪吊を作ったり、木の幹に藪巻をしたり、苔を保護するために松の枯葉を敷いたりといった光景が見られるのもこのあたり。
- 風花やときには押入より唄ふ
- 佐藤文香
朔風払葉
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きたかぜこのはをはらう
朔は北の方角を意味する漢字で朔風は凩を指します。枯葉が風に払われ落葉となり、あとには枯木が残るだけ。家もまた冬へ構えなければなりません。北窓塞ぐと言って北側の窓に板を張ったり目貼をしたりします。垣塀を作って風除とする地域もあります。万全に対策したようでも北風は強く、隙間風といって家のなかに洩れ入る風もあります。家の造りには寒さという自然との戦いの痕跡があります。
- 落葉敷く荒波を敷く如くなり
- 高浜虚子