暮らしを映すカメラ

アーティスティックな自転車やさんに茨城県の稲田石採石場と、異種類の被写体を松澤カメラが迫ります。

Vol.4  今月の2題—自転車屋と採石場

1:アートな?自転車屋さん

自転車パーツの造形

工房の壁いっぱいの作品達。自転車のパーツの魅力とそのチャーミングな造形。

marcel duchamp

マルセル・デュシャンの気持ちが少しは分かった気がします。

日本製手回しドリル

手回しドリル。なんて可愛らしいカタチ。舶来品かと思ったのですが、なんとか判別できたラベルから、なんとメイド・イン・ジャパン。

2:茨城県の稲田石採石場

採石場の水たまり

昔は山、今は穴。水が溜まっていますが、明治から掘って水面下30mまで達しています。

塊こそ、石の本来の姿。

ドリルの刃跡が、エンタシスの柱の条溝のように美しく輝いていました。スケール感が分かりにくのですが、この切断面の高さは5mもあります。

採石場

左はワイヤーソーの削り面。すでに建築の壁。これ以上贅沢な壁があるでしょうか!

採石場のカッター

直径数メートルもあるカッターの刃。使用済みは工場の敷石代わり。タイヤの跡からその大きさが推測していただけるかと!

ボンネット車

ボンネットのトラック。スピルバーグの処女作、「激突」のトラックを思い出しました。自動車のデザインが、自信に満ちあふれていた頃の迫力を感じます。

石工用玄能

大工さんから譲ってもらった牛殺しの柄の玄能を愛用しています。それは私のような素人でもわかる手応え。石切り場では玄能よりさらに大きなハンマーを使うため、牛殺しの枝が不可欠。
近くの山に分け入って自生の枝を見つけてくるそうです。一見漆のような樹皮。ただ慣れないと見つけるのも困難とのこと。欲しい!

使用機材:
SONY α7
LEICA 50mm 1.4 SUMMILUX
写真はすべて、ノートリミング、デジタル未処理。

著者について

松澤穣

松澤穣まつざわ・みのる
建築家
1963年東京生まれ。建築家。松澤穰建築設計事務所代表。多摩美術大学環境デザイン学科教授。東京芸術大学卒業・同大学院修了。代表作に、欅の家、里山住宅博のヴァンガードハウスなどがある。父親の影響で幼い頃からカメラに親しみ、ライカのレンズを愛用。

連載について

松澤さんは、カメラにもとっても詳しい建築家の一人です。気ままに撮っていますと言いながら、愛用のライカのレンズで安定感のある写真を撮影されるので、ちっとも気ままに思えません。8月にWebびお養成塾で担当された写真講座では、参考になった!もっと写真を見たい!など、受講生からの反響も大。そこで、Webびおでも松澤さんの写真講座をお願いすることになりました。松澤さんは、どんなことを考えながらカメラのファインダーを覗いているのでしょうか。