ちいきのたより

Vol.45  旧野﨑家住宅
岡山県倉敷市 大和建設

ちいきのたより第45話旧野﨑家住宅 岡山県倉敷市 大和建設

 

ちいきのたより第45話旧野﨑家住宅 岡山県倉敷市 大和建設

こよみは、芒種ぼうしゅ 蟷螂生かまきりしょうず

だんだんと夏が近くなってきました。私の暮らす岡山県倉敷市でも暑い日が増えてます。

さて、今回のテーマの中の一つ、地域の建物についてご紹介したいと思います。
倉敷市の南部に位置する児島という海沿いのエリアに「旧野﨑家住宅」という国指定重要文化財があります。
旧野﨑家住宅順路図旧野﨑家住宅旧野﨑家旧宅看板
野﨑家は、製塩業と新田開発で財を成した野﨑武左衛門が天保から嘉永年間に築いていった民家です。
敷地面積約3000坪、建物延床面積1000坪近くあります。
旧野﨑家住宅長門
今回は車で出掛けましたが、倉敷駅周辺から約30分くらいでしょうか。 JR児島駅からは徒歩10分くらいです。ちなみに車の場合は観光用の駐車場がすぐ近くにあります。
野﨑家に到着すると、最初に大きな長屋門があります。
土蔵群
門に入ると手入れの行き届いた芝の広い庭があり、その奥には土蔵群が立ち並んでいます。
手前から内蔵、大蔵、書類蔵、新蔵、岡蔵と並び、内蔵の奥には夜具蔵が配されています。
旧野﨑家住宅表玄関
長屋門をくぐり、左に進んで行くと表玄関があります。


更に奥へと進むと表書院があります。野﨑家の中心となる建物で貴賓の応接にあてられたものです。

旧野﨑家住宅表書院

旧野﨑家住宅の表書院の応接間
1851年(嘉永4年)から1年半かけて建てられました。表書院は、四方に1間のひさしがあり、長さ十間の虹梁こうりょうには地松、雨戸の戸袋には屋久杉、庇の垂木には北山杉を用いています。

水琴窟の説明図

水琴窟
縁先の手水場ちょうずばには水琴窟があり、心落ち着く琴のような音色が楽しめます。
枯山水


表書院から眺めることを意図してつくられた庭園は、江戸末期にできた枯山水で季節ごとの樹木が植えられていて、四季の移ろいが楽しめます。

庭園の横を進んで行くと、隣池亭りんちていという茶室があります。よく見るとといが竹で出来ています。
他にも庭内には観曙亭かんしょてい容漆亭ようしつていという茶室があります。
旧野﨑家住宅の長座敷
そして、隣池亭の横には中座敷があります。野崎家が住まいの中心とした主屋です。
この建物は中座敷から向座敷まで二十三間(42m)、9つの座敷が連続しています。

扇面の石が見れる石垣の看板

中座敷の建物の裏側に石垣があるのですが、扇形の石が隠れています。
扇形の石がある石垣

旧家の竃古い洗面所
その石垣沿いには台所やお風呂、洗面所などの水回りが配されています。台所だけで42坪ほどあります。
骨董品の食器たち蓄電池ライト他古道具花形の照明
写真は当時使われていた食器や様々な道具です。花の形をした照明は自家発電当時の物です。
ジーンズストリート名物電線に干されたジーンズ
旧野﨑家住宅は児島ジーンズストリートに隣接しています。野﨑家を後にして、少しこの辺りを散歩するのも楽しいです。
オリジナルデニムを使ったおしゃれな洋服やジーンズなどを販売するお店が立ち並び、通りにあるカフェではデニムソフトも頂けます!

倉敷市児島エリアは、江戸時代に浅瀬を干拓して出来ました。
そのため、塩気に強い綿花の栽培がさかんになり、様々な綿製品産業が興りました。
1965年にアメリカから輸入したデニム生地で国産初のジーンズを縫製し、1973年に倉敷紡績が国産初のデニム生地を開発しました。
児島デニムは風合いがとても良く、丈夫なため今では世界中に広がり地元の人たちにも人気があります。詳しくは、第24回運船建設さんの記事「つなげ! 繊維のDNA」でごらんになれます。

レモン型のオブジェが目立つ喫茶店サンレモンの外観
最後に、この日ランチを頂いたお店「サンレモン」の紹介です。児島ジーンズストリートからもほど近く地域の建物という意味では、こちらの喫茶店もかなり味があります。70年代を彷彿とさせるつくりで、タイムスリップしたかのような店内です。

喫茶サンレモン建物のガラス外側には水が流れていて、レースのカーテンの代わりになっています。
日替わりランチや定食などメニューも豊富で、ボリュームもありおすすめです! 

堀田聖子
ちいきの記者
堀田聖子ほりた・せいこ
岡山県倉敷市在住。大和建設で営業設計の仕事をしています。
インスタや FB も担当。地域の様々な出来事に目をむけつつ、沢山の方々との繋がりを大切にしながら、楽しく毎日を過ごしています。

 

岡山県倉敷市 大和建設施工事例
大和建設(株)だいわけんせつ
岡山県倉敷市福田町浦田2378-251
TEL:086-456-4688
URL:daiwakensetu.com
豊な自然そのものを住まいに取り入れた家づくりをご提案しています。そのためできるだけ既製品を使わず、自然素材が持つ質感や表情を大切にした手仕事にこだわっています。
時とともに味わい深くなる素材を重ねることで、5年後、10年後が楽しみになる。そんな住まいをご提案します。また、自然という素材を活かすため、設えはあくまでシンプルに。その中に、無垢材をベースにした異素材のコントラスト、手仕事だから生み出せる造作の立体感、陰影の中に美しさを忍ばせた光影のデザインなど、洗練のディテールを描き、ご提案させて頂いています。

ちいきのびお参加工務店さん全国図

ちいきのびお