色、いろいろの七十二候

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雷乃収声・綿

綿
こよみの色

二十四節気

しゅうぶん

秋分
真朱色まそお/しんしゅ #EC6D71

ややくすんだ朱色。硫化水銀鉱物から作られる天然(真朱)と硫黄を混ぜた人造(銀朱)のある朱色。本来は前者で、銀朱より深く赤みが強い。

七十二候

かみなりすなわちこえをおさむ

雷乃収声
猩々緋色しょうじょうひいろ #E2041B

緋の中でも特に強い黄みがかった朱色。室町時代後期からのポルトガルやスペインとの南蛮貿易の舶来品に多く見られた色。
猩々は、中国の伝説上の生き物で、その血はとても赤いとされ、舶来品への想像が重なり「猩々の血を材料にしている」とされ、猩々緋という色名が誕生した。
戦国時代の武士は猩々緋の羅紗やビロードを陣羽織に仕立て、織田信長や豊臣秀吉など名のある武士が陣羽織に愛用したため、権力や権威を表わす最上の高級品として扱われた。
実際の原料は昆虫のケルメスまたはコチニールカイガラムシかエンジ虫(ラックスラック)によって染めたと考えられている。

綿というと、思い浮かぶのは木綿です。
木綿(tree cotton)は、平安朝初期に中国から貢物として入りました。やがて戦国時代の「戦闘服」や旗などに用いられ、一気に普及しました。しかし、古代や中世には、綿といえば蚕の繭から作られる絹の真綿(floss silk)を指す言葉でした。
また、最近でも布団や座布団に詰めるものは、ポリエステルなどの合成繊維であっても「綿」と呼び慣らしています。ポリエステルは、木綿の2倍のかさ高が得られます。

麻繊維による麻綿もあります。さらっとした肌触りがよく、夏用布団に用いられます。ガチョウや鴨の羽毛などは、綿といわず羽毛と言いますが、これは木綿や麻綿より高価だからでしょうか。
天然の鉱物を繊維状にした石綿や、岩綿 (ロックウール)もあります。海綿や鉄の繊維によるスチールウールもあります。縁日の駄菓子に綿菓子もあったりします。魚の腸も”わた”といいます。

けれど、七十二候にいう綿は、木棉を指します。
葵科、学名 Gossypium ワタ属。紀元前2500年頃から、古代インダス地方(インド)で繊維作物として栽培されてきた「綿」です。英名では「コットン」。英名の由来は、花がさいた後にできるコットンボール(実)です。この実がはじけ、中から白い綿繊維があふれ出ます。それが綿(綿花)です。草丈60センチ。花は、7~8月ごろ開花します。白、黄、まれに紅色。五弁の花。花が咲いたあと、コットンが実を結び、成熟すると開裂し、種子の表面に生じる毛状の繊維を摘んで綿をつくります。

しらぬひ 筑紫(つくし)の綿は身につけていまだは着ねど暖かに見ゆ
  「万葉集」 沙弥満誓の歌
綿の花たまたま蘭に似たるかな
  素堂
大坂の城見えそめてわたの花
  蘭更
綿の花白し夕立の峯一つ
  山口青邨
文/小池一三
※リニューアルする前の住まいマガジンびおから再掲載しました。
(2011年09月23日の過去記事より再掲載)