色、いろいろの七十二候

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麋角解・寒椿

寒椿
こよみの色

二十四節気

とうじ

冬至
土器色かわらけいろ #C37854

江戸時代の色名。厄除けの願いを込め皿を投げる「かわらけ投げ」は伝統の遊び。

七十二候

おおしかつのおつる

麋角解
鳩羽紫色はとばむらさき #6D6981

鳩の羽のような灰みがかった薄い青紫色の中で、紫みの強い鳩羽色のこと。土鳩の羽毛の色からきた色名で、明治から大正にかけて流行した。

椿と山茶花(さざんか)は、どちらも日本原産の木で、ツツジ目ツバキ科ツバキ属の樹木です。お茶の原料になる茶の木もこの仲間です。
山茶と書いてツバキと読ませることもありますし、山に自生する茶の木を指すこともあります。


では、椿と山茶花の違いは、どこにあるのでしょう。
「さざんか、さざんか、咲いた道」と童謡・焚き火にも歌われるように、山茶花は冬の花です。
椿は気温の上昇によって花を咲かせる春の花、山茶花は気温の下降に反応して咲く冬の花です。桜や梅などの開花前線は、南から北に上がっていくのが常ですが、山茶花の開花前線は、北から南に下がっていきます。

この他にも細かい違いはあって、椿の花の雄しべは長く、花は筒状になっています。山茶花は開いた花で、雄しべは短いのが特長です。椿の花は、花首ごとポトリと落ちますが、山茶花は花弁の一枚一枚が別れて散ります。

獄を出て手触ると欠けし寒椿
  秋元不死男

寒椿も冬に咲き、花弁が別れて散ることからも、山茶花の仲間であることがわかります。

椿も山茶花も、自家受粉をあまり行わず、他家受粉によって実をつける花です。虫が多い時期に咲く椿に比べて、山茶花の咲く時期は虫が少なく、花を咲かせるのは不利なようにも思えます。

そこで山茶花が選んだのは、鳥に頼ることでした。虫の少ない冬に咲く山茶花は、メジロやヒヨドリなどの小型の鳥を媒介にして受粉を行います。

より平開状に開いた花の形は、虫より鳥を呼び込むためでしょうか。また、山茶花の実は椿に比べて小さく有毛で、これも鳥によって実を傷つけられないように、という自然の知恵なのかもしれません。

寿命の短い一年草で、数日間しか咲かないような花は、とにかく媒介者を集めようと、花粉や蜜の大盤振る舞いをします。寿命の長い木に咲く花は、じっくりと自分に適した媒介者を探すことが出来ます。

サザンカとメジロ

山茶花とメジロ


山茶花が冬に咲くようになったのは、虫を媒介にするライバルが少ない時期に、鳥を捕まえることが出来たから、ということで、いわゆるニッチ戦略の一つでしょう。
ニッチというのはビジネス用語では隙間戦略、というように使われますが、もともとは生物学の用語で、生態的地位を表します。
椿も山茶花も、それぞれのニッチを探して、春と冬に、その生きる場を分けていったのでしょう。

椿と山茶花の違いを知らなくても、困ることのない世の中ですが、そうしたことに目を向ければ、なんと多くの喜びが待っていることでしょうか。
ニッチの愉しさは、言い換えれば旬の愉しさです。場所と時間が限定されるからこそ、旬が生まれるのです。

※リニューアルする前の住まいマガジンびおから再掲載しました。
(2013年12月22日の過去記事より再掲載)