森里海の色
四季の鳥「コムクドリ」

群で水浴びする鳥

猛暑が続いています。先日、仕事の打ち合わせを終えて市街地を歩いていると、幅10mほどの小さな川に行き当たりました。水かさは少なく、所々で川底の砂利がのぞいており、日差しをまぶしく反射しています。カメラを川に向けている人を見つけ、近づくと、浅瀬に10羽ほどの小鳥が水浴びをしており、ギュルギュルと鳴きながら川沿いのミズキの枝との間を何度も往復しています。コムクドリの群でした。

小椋鳥 こむくどり

コムクドリはムクドリの仲間で、その名のとおりムクドリより小型の鳥です(体長はムクドリ24cm、コムクドリ19cm)。千島列島、サハリン、日本というかなり限定された場所で繁殖しており、冬はフィリピン、ボルネオ島で越冬することが知られています。5月に信州戸隠や富士山麓でキツツキの古巣に営巣しているのを見たことがありますが、私が住む神奈川県内で見ることができる時期は、群で行動する7~10月上旬です。
雄は頭部から喉にかけて淡いクリーム色、頬から後にかけて目立つ茶色の斑があります。背中や肩羽、翼は黒色で、体の下部はくすんだ淡いクリーム色をしています。雌は頭部から胸にかけて灰褐色、頬には雄に見られる茶色の斑がありません。
バードウォチングを初めて間もない頃、ベテランバーダーの友人に誘われて行った山中湖周辺で初めてこの鳥を見ました。山中湖に向かう途中、車を降りて小休止していると、友人が双眼鏡を道路沿いの電線に向けて、「いた、いた」とつぶやきました。電線にはたくさんのムクドリが止まっていましたが、そのなかに1羽のコムクドリが混じっていたのです。初めて見たときの印象は「なんか変な鳥だな」というものでした。白っぽい頭にあまり大きくない黒い目が穿たれ、ちょっとお公家さんの化粧みたいで、頬の部分の茶もなんだか乱暴に色を付けたようです。それ以来、私は造形の神も時に失敗作を生むという感じを持っていますが、私の息子はそんなことはない、かわいいと言います。皆さんはどう思われますか?

著者について

真鍋弘

真鍋弘まなべ・ひろし
編集者
1952年東京都生まれ。東京理科大学理学部物理学科卒。月刊「建築知識」編集長(1982~1989)を経て、1991年よりライフフィールド研究所を主宰。「SOLAR CAT」「GA」等の企業PR誌、「百の知恵双書」「宮本常一講演選集」(農文協)等の建築・生活ジャンルの出版企画を多く手がける。バードウォッチング歴15年。野鳥写真を本格的に撮り始めたのは3年前から。