びお通信

住まいの主体性を回復せよ!

 人生を変える住まいと健康のリノベーション

住まいに求められる根源的な機能の一つ、「暑さ、寒さをしのぎたい」という欲求は、二次的に「光熱費を抑えたい」という形で表現されるようになってきた。

そういう観点で書かれている断熱本は多い。だが、何しろタイトルに「人生を変える」とうたっているのだから、単なる断熱本ではあるまい、と見渡すと、帯の後ろにヒントがあった。

「1.熱環境を改善する」
「2.外環境を活かす」
「3.まちとつなげる」

新築住宅では当たり前になった高断熱だが、既存住宅の熱環境はまだまだ悪い。日本にいま現在建っているほとんどの家は、決して高くない現行の省エネルギー基準を満たしていない。ここを改善すべし、と訴える。

しかし、その理由は決して「エネルギー問題」とか「基準がこうだから」という話ではない。暮らしの場の熱環境が改善されれば、これまで活用されてこなかった北側なども含めた、住まい全体を活用できるようになる。住まい手の活動量も増える。限られた環境にじっとしているのではなく、身体を動かす生活に変化する。

そうやって身体性を回復するとともに、訴えるのは主体性の回復だ。住宅は「商品化」して、高機能な設備機器が、ほうっておいても快適な環境をつくってくれるように見える。そこに暮らすと、知らず知らずのうちに、快適な生活は誰かが用意してくれる、という依存感覚を起こす。

そんな状況に陥らないよう、主体性をもつべし、という提案の一つは、エアコンの冷房に頼らずに住まいを改善してみる、ということだ。外部の環境を断ち切ってエアコンを使う、という「依存」から、外部環境を能動的に活かして楽しむか、という「主体」への変化を誘う。

商品化して利便性が高い住まいに暮らせば、地域コミュニティのような面倒なものはいらない。若いうちはそのように思い、実際にそうやって暮らす人が多いだろう。だが人は必ず歳をとる。積極的に外に出かけるばかりの人生から、身体も衰えて、やがて暮らしの場たる住まいに、ある意味縛られるような時期がやってくる。それまでに地域コミュニティという居場所も耕しておくのだと訴える。

建物というハードウェアだけにこだわることは、実のところ見えない誰かに依存しつつも、将来の帰属先を失わせることになる、そんなメッセージが通底している。

若い世代には、ここまでの想像力が持てないかもしれない。むしろ高性能な機器に囲まれて、快適な生活を送りたい、と思う人が多いのかもしれない。
本書のターゲットは、セカンドステージからサードステージへむかうシニア層である。しかし、人生も住まいも100年時代であるからこそ、若者にも一読を促したい。(佐塚)

人生を変える住まいと健康のリノベーション
著者 甲斐徹郎・星旦二
販売 新建新聞社
(献本いただきました)

W. ALC®で実現する非住宅分野の木質化セミナー

集成材の進化!

2010年に制定された公共建築物木材利用促進法により、非木造建築への木材利用が課題になっています。
鉄筋コンクリート造へのカーテンウォールとしても取り付け可能なWOOD.ALCのセミナーが静岡県浜松市で開催されます。

以前、編集部が訪れた掛川市森林組合新事務所でも使われ、設計者の村松篤さんも講師として参加されます。

日時 2018年5月17日(木)14:00~16:30(受付開始13:30)
場所 アクトシティ浜松研修交流センター 62研修交流室

 

町づくりプランナー養成塾のご報告

4/9〜10、茨城県つくば市において、『町づくりプランナー養成塾』が開催されました。

詳しい報告を、町の工務店ネットwebサイトに掲載いたしましたので、ぜひご覧ください。
新しい用途地域「田園住居地域」をにらんだ、先進的な取り組みとして注目を集めました。
第2回の開催も予定されています。

http://machi-no-komuten.net/archives/26750

たかだみつみ木版画展 愛でる記憶2017-2018

びおで木版画を連載していただいている木版画家たかだみつみさん。
氏の個展が新潟と東京の2か所で開催されます。
木版画はむかしから実際に肉眼で見て楽しむもの。液晶画面では見られない木版画の魅力を発見しに会場へ足を運ばれてはいかがでしょうか?

たかだみつみ

展覧会名 : たかだみつみ木版画展「愛でる記憶2017-2018」

【新潟会場】
会   期 : 2018年5 月19日(土)~27日(日) ※水曜定休
時   間 : 10:30~18:00(土日祝19:00)
会   場 : LOCAL IDENTITY STORE(LIS長岡)
新潟県長岡市高畑町660(SHS長岡別館)
tel 070-2151-0351 http://lis.farm8.jp

【東京会場】
会   期 : 2018年6 月18日(月)~24日(日) ※無休
時   間 : 11:00~19:00(最終日は16:00)
会   場 : 月光荘画室1
東京都中央区銀座8-7-2永寿ビルB1F
tel 03-3572-5605 http://gekkoso.jp/

観 覧 料 : 無料
出 品 者 : たかだみつみ
出品点数 : 約15点(予定) 作品は購入も可能

構造設計家・山辺豊彦さんを迎えた講演会「地域材を活用した中大規模木造建築物の設計」

以前、びおでも伝えた「掛川市森林組合新事務所」。構造設計は、山辺豊彦さんによるものでした。

今後ますます木造建築の見直しがすすむと言われる中で、構法を学べる機会は決して多いとは言えません。
今回は、地域材を用いて中大規模な木造建築物をどのように設計しているのか、
山辺さんのご経験を存分にお話いただける機会と思います。

ぜひご検討ください。

講演会ちらしPDF

    PDFのダウンロードはこちらから

主催:(公益社団法人)日本建築家協会東海支部静岡地域会(JIA静岡)事務局