穀雨
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こくう
春雨が降り、種籾を潤して芽を出させるころです。穀雨の終わりごろが八十八夜で、茶摘みどき。桜も蕊をすっかり落とし、鮮やかな葉桜を見せてくれるでしょう。そして山吹の花や花水木、そして木瓜の花などが野山を彩ります。その花を求めて蜂が飛び交うようになります。だんだん気候が安定してくると春が行ってしまう寂しさのなかで、夏の訪れを感じるように。風が薫りだします。
- 行く春に一匹白猫添いにけり
- 阿部完市
葭始生
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あしはじめてしょうず
葭が芽生える。蘆や葦とも書かれるアシは古い呼び名で、新しくはヨシと呼ばれ、日本のどこの川辺にでも生えて生活を支える材料になっていました。簾を編むのに使われたり、葦笛にされて楽器となったり、もっとも原始的な舟の材料となったりしました。そのためか、古事記での日本の美称として豊葦原中国があります。日本人に一番身近な植物かもしれません。
- 蘆芽ぐむしづけさに水めぐるかな
- 鷲谷七菜子