工務店女子が伝えたい家づくり

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家を建てる前に「理想の暮らし方」をみつめてみる

「家を建てよう」

そう思ったときに、何をするのでしょうか? 誰もがまず、そこで悩むのではないでしょうか?

本屋さんに情報誌を探しに行ったり、展示場へ行きモデルハウスをまわったり、最近では動画などでもたくさん情報が流れてきます。

もちろんSNSで発信されている写真から、ビジュアルで自分たちの好みの家を探す方もいらっしゃると思います。

情報過多と言われる昨今では、何を決め手に建築会社を選ぶのか?

それもまた、人それぞれ。だけれど、条件だけで検索を掛ければ、完璧な相手は出てくるわけではなさそうです。

最近のネット検索では、まとめのサイトや無料紹介サイトもあり、利用者がとても多いそうです。

無料の紹介サイトや有人のカウンターなどで紹介してくれるといっても、すべての会社が対象になっているわけではない(登録会社のみ)ので、できるだけたくさんの情報を得たい人には向かないかもしれません。

情報の取り入れ方も量もまた人それぞれということになります。

そんな中、自分たちの家づくりを共感のもてる工務店に依頼するには、いったいどうやって見つけたらよいのか?

そんな疑問を、よくいただきます。

ひとつの解決方法として、検索の方法ではなく、まずは「自分たちの理想の暮らし方をみつけること」だと思います。

それが分からないから情報収集するんだと言われるかもしれませんが、やはり逆なんです!

理想の暮らしとは「夏、冬に快適な室温」「エコで省エネな暮らし」「メンテが楽な家」、でもよいのですが、せっかく一生に一度の家づくりなので、わくわくするような楽しみ方や目に浮かぶような光景はどうでしょう?

「ほっと一息ついてコーヒーを飲める家」「ゴロゴロ寝そべって本を読む」「ぼーっと外の景色を見る」「一緒に料理を楽しむ」など、毎日の暮らしの中で、ちょっとだけ幸せを感じる一コマを思い浮かべてみてはどうでしょう?

着心地の良い服を着て、気楽にすごす毎日。

まずは、一番大切なことに気付くかどうか。

工務店との出会いは結婚と同じ。

条件も大切だとは思いますが、相手も人の子。完璧な相手はそういません。
ましてや、施工するのも人ですので、遠方から優秀な人材だけを連れてきて工事ができるわけでもない。

たとえ、完ぺきではない相手でもお互いに協力しあって、よいもの(家庭)を作っていく覚悟が必要なのだと思います。

そして、世間で評価がとても高くても、自分にとって最適な相手かどうかはわかりません。

でも、一度パートナーと決めたら、できるだけ協力し話し合い良いものを造るという目標を達成するためにともに進んでいくことが必要です。

そっちのが、楽しそうじゃないですか!

ついつい、お客様と業者という立場上、心配でしょうからお金も少なめに予算を言いたくなったりしますよね・・・気持ちはわかります。でも、本当は信頼できる相手に適切な予算を伝えて、できるだけのことを考えてもらうことが、一番良い結果になると思います。

工務店はプロです。一般の方が3回目にやっと家づくりを成功させるのなら、工務店は間違いなく経験的には成功する家づくりを知っています。

必要なのは「信頼と信用」なのでしょうね。

私も、ちゃんと信用してもらえる様に、これからもがんばります(笑)。

「理想の暮らし方」には予算も関係しますし、素材も関わってきます。エコへの考え方や、もちろん耐震などの性能についての考え方も関係しています。

施主と工務店との相性は、はっきりと数値で表せるものだけでなく、表せないもので共通した目標をみつけることで結ばれると上手くいくのではないかなと思っています。

家づくりをしようと思い始めている方は、ぜひ「自分の理想の暮らし方」と向き合ってみてください。

著者について

石原智葉

石原智葉いしはらともよ
工務店女子
愛知県西尾市生まれ。釣りが好き。月を見るのが好き。地元食材や、地元で作られたものが好き。 シンプルな暮らしにあこがれる。これは、まだ実戦途中。 設計の仕事では、お客様のプライベートにぐっと入り込んでお話しします。たくさん考えて出した答えは後悔することが少ないので、満足できる家づくりに繋がります。お互いに信頼しあい、人間関係を築くことも家づくりに携わる上で大事な使命だと考えています。
イシハラスタイルにて、家づくりの仕事をしています。

連載について

自然素材を使った家。 日々の住まいのメンテナンス。 工務店にとっては当たり前のことも、大手メーカーにはできなかったりします。 リノベーションも、工務店の力の発揮どころ。 けれど、そんな事実が伝わらず、家はどれも同じ、とばかりに建てて(買って)しまう人がとても多いです。 スクラップ&ビルドはやめて、地元の工務店・職人に家づくりをお願いしたら、どんなことが起こるのか。 工務店女子・石原智葉さんの「伝えたい」という気持ちにあふれる声をお聞きください。