森里海の色
四季の鳥「ホオアカ」

ほっぺの赤い草原の鳥

ホオジロじゃなくて、ホオアカという鳥がいるんだ。バードウォッチングを始めた頃、野鳥図鑑でそのことを知って、早く観たいものだと思いました。最初にホオアカを観ることができた時の感激は今でも覚えています。私の野鳥図鑑のホオアカの頁には、最初に観た時と場所が2006年6月25日、利根川河川敷と記されています。
ホオアカはホオジロ科の鳥で、全長16センチ、ホオジロとほぼ同じ、スズメよりやや大きい鳥です。頬の部分が赤みのある栗褐色で、これが名前の由来になっています。頭、首、背の部分は灰色の地に黒の縦斑があり、腰は赤褐色、下面は白に近い淡色をしています。雄の夏羽では胸に黒と栗褐色の2本の横帯が明瞭に目立ちます。

頬赤

北日本では低地の草原に多く、本州南部以南では高原で繁殖します。ホオジロは高い木の梢や電線などによくとまっているのを見かけますが、ホオアカは背の低い木が生えている草原や農耕地を好みます。ホオジロほど出会える機会がないのは、ホオジロより生息数が少なく、繁殖地である河原や草地も減少しているためでしょう。今の時期、富士山麓や奥日光などに行き、広い草原の遠くの灌木に鳥を見つけて双眼鏡を向けると、ホオアカであることがよくあります。写真は昨年7月初旬に霧ヶ峰高原で撮影したものです。
ホオアカのさえずりはホオジロに似ていますが、少し濁って聞こえます。でも、そろそろ補聴器の準備をしなければいけない私の耳には、その違いがわからなくなりつつあります。

著者について

真鍋弘

真鍋弘まなべ・ひろし
編集者
1952年東京都生まれ。東京理科大学理学部物理学科卒。月刊「建築知識」編集長(1982~1989)を経て、1991年よりライフフィールド研究所を主宰。「SOLAR CAT」「GA」等の企業PR誌、「百の知恵双書」「宮本常一講演選集」(農文協)等の建築・生活ジャンルの出版企画を多く手がける。バードウォッチング歴15年。野鳥写真を本格的に撮り始めたのは3年前から。